●こんなお話
共和国と分離主義の戦争が継続中でお互い勢力を広げようとしていて、犯罪王のジャバ・ザ・ハットの息子が誘拐されてジェダイやシスが戦う話。
●感想
時間にして90分とコンパクトな長さですが、戦争の最前線からスタートし、そのままノンストップで物語が展開していくテンポの良い一本です。冒頭からオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーがトルーパーたちと共に戦地に赴き、熾烈な戦闘が繰り広げられるシーンから始まります。
そこへヨーダの使いとして送り込まれてくるのが、新キャラクターとなるアソーカ・タノ。彼女はアナキンの新たなパダワンとして登場し、最初はぎこちなさもあるものの、次第にアナキンとの間に師弟関係としての絆が芽生えていきます。このふたりが力を合わせて戦う姿が、この作品の中心となって描かれていきます。
物語の大きな軸となるのは、犯罪王ジャバ・ザ・ハットの息子が何者かによって誘拐される事件。この息子を救出すべくアナキンとアソーカが乗り込んでいくことになります。目的地となるのは、ドロイドたちに守られた寺院。そこでは再び激しい戦闘が繰り広げられ、どうやってシールドを破壊して敵の包囲網を突破するかという戦術的な展開もあり、アクションが常に画面を引っ張っていきます。
今回のアニメーションは、キャラクターの顔の表情が最小限に抑えられており、独特の質感を持ったCG描写ですが、見慣れてくるとその中にしっかりとした演技や世界観が宿っていて、意外にも引き込まれていきます。初見ではややクセのあるビジュアルも、戦闘や動きのキレの良さと合わせてアニメーションとしての魅力をしっかり感じさせてくれました。
ジャバ・ザ・ハットの息子の誘拐事件をめぐるこのストーリー、実は敵側の自作自演による陰謀で、主人公たちに罪をなすりつけ、ジャバを共和国から引き離して敵陣営に引き入れようという思惑が隠されています。この計画がバレてしまうと一気に立場が逆転するため、アナキンとアソーカは急いでジャバの息子を連れ戻さなければならなくなります。
その裏で動いているのが、パドメ・アミダラ議員。彼女はジャバの親戚ズィロ・ザ・ハットに交渉を試み、なんとか協力を取り付けようと奔走します。このズィロというキャラクターが、いかにもスター・ウォーズらしいクセのあるデザインで、しかも敵側と繋がっているという裏切りの構図まで持っており、ちょっとしたスパイスになっています。
ストーリー全体としては、誰かが逃げて追いかけて、また逆転しての繰り返しという部分も多いですが、それをテンポよく進めていくため、あっという間の90分になっています。陰謀の内容や説得の流れがやや単純に思える部分もありましたが、それでも次から次へと展開が起こり、退屈する暇がない構成には素直に感心しました。
スター・ウォーズの基本的なキャラクターや設定を把握していることが前提となっているため、初見の方には少し情報量が多い印象もあるかもしれませんが、既にこの世界観に慣れ親しんでいるファンであれば、安心して楽しめる構成になっていると思います。アクションに力を入れた構成と、新キャラのアソーカ導入、そしてジャバの一族に焦点を当てたストーリーライン。シリーズの一部として観ると、きちんと意味を持った作品になっていて、スター・ウォーズの世界をさらに広げてくれる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2021/10/07 Disney+
監督 | デイブ・フィローニ |
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アニメーション監督 | ジェシー・イェー |
脚本 | ヘンリー・ギルロイ |
スティーブン・メルチング | |
スコット・マーフィー | |
製作総指揮 | ジョージ・ルーカス |
出演(声) | マット・ランター |
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アシュリー・エクスタイン | |
ジェイムズ・アーノルド・テイラー | |
ディー・ブラッドリー・ベイカー | |
トム・ケイン | |
ニカ・フッターマン | |
イアン・アバークロンビー | |
アンソニー・ダニエルズ | |
クリストファー・リー | |
サミュエル・L・ジャクソン |