●こんなお話
飛行機事故で家族をなくした男と責任を負わされた男が交差する話。
●感想
建設現場の現場監督として慎ましく暮らしていたローマン・メルニックは、海外に住んでいた妻と妊娠中の娘を迎えるため空港へ向かう途中、彼女たちの乗った旅客機が別の航空機と空中衝突事故を起こし、乗員乗客全員が死亡したという知らせを受ける。突如として家族すべてを失ったローマンは深い悲しみと怒りに沈み、事故現場を訪れては散乱する遺品を拾い集めながら、現実を受け入れられずに日々を過ごしていく。
ローマンは航空会社に説明と謝罪を求めるが、対応は形式的で、補償と責任回避に終始しており、その態度は彼の心をさらに荒立てる。やがて怒りの矛先は、事故の原因として報道された航空管制官ジェイコブ・ボナノスへと向かっていく。一方のジェイコブもまた、事故当夜に人員不足の中で複数の管制業務を担当し、通信トラブルが重なった結果として衝突を防げなかったことで、世間から激しい非難を浴びていた。強烈な罪悪感と心的外傷に苦しむ彼は家庭生活も崩壊し、会社の判断により名前を変えて別の土地で身を隠すように暮らしている。
時間が経っても喪失感から抜け出せないローマンは、事故から一年後、記者の協力を得てジェイコブの居場所を突き止める。謝罪の言葉を直接聞くことだけを目的に彼のアパートを訪れ、そこにある平凡な家庭の気配に一瞬ためらいながらも、ついに本人と対面する。しかし追い詰められ混乱したジェイコブの態度はローマンの心を逆撫でし、抑え込んできた怒りが爆発した末、ローマンは衝動的にジェイコブを刺殺してしまう。
裁判の結果、ローマンは有罪となり長期の実刑判決を受けて服役する。仮釈放後、社会に戻った彼はある日墓地で成長したジェイコブの息子サミュエルと再会する。父を失った復讐心から銃を向けるサミュエルに対し、ローマンは自らの罪と後悔を包み隠さず語り、謝罪の言葉を口にする。サミュエルは引き金を引くことができず、その場を立ち去り、ローマンもまた癒えることのない罪と喪失を抱えながら生き続けていっておしまい。
本作は、家族を失った側の深い喪失感と、事故を起こした側が背負う罪の意識を同時進行で描いており、どちらの立場にも感情移入しやすい構成だと感じました。派手な演出に頼らず、静かに人物の内面を追い続ける姿勢が印象的で、アーノルド・シュワルツェネッガーの抑制された演技も作品の空気に合っていたと思います。
一方で、物語は終始淡々と出来事を追うため、復讐や憎しみが生まれていく過程に意外性は少なく、観る側に新たな視点を提示する力は控えめでした。謝罪を求める心情そのものは理解できるだけに、その後をどう生きるのかという部分を、もう一歩踏み込んで描いてほしかったという思いも残ります。
また、冒頭の管制官の業務描写は緊迫感や臨場感がやや弱く、なぜ事故が起きたのかという背景が簡潔に処理されていた点は惜しく感じました。記者という存在も物語上の役割にとどまり、人物としての厚みはあまり感じられませんでした。全体で九十分という上映時間は、この重いテーマを扱うにはやや短く、駆け足に映る部分があった点は残念に思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2018/01/19 DVD 2025/12/27 U-NEXT
| 監督 | エリオット・レスター |
|---|---|
| 脚本 | ハビエル・グヨン |
| 出演 | アーノルド・シュワルツェネッガー |
|---|---|
| スクート・マクネイリー | |
| マギー・グレイス |



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