●こんなお話
筋肉の【ミッション・インポッシブル】みたいな話。
●感想
冒頭からサミュエル・L・ジャクソンがサッカー選手をスカウトしていて、その選手がアベンジャーズに誘われたと勘違いするという、笑ってしまうような展開。そこに突然衛星が落下して大爆発。この時点で「この映画は真面目に見るものじゃない、目の前で起きるアクションを全力で楽しむものなんだな」と気づかせてくれます。
ドニー・イェンが主役級に大活躍していて、彼のアクションを堪能できるだけでも十分見る価値がありました。タイのトニー・ジャーも、いつの間にかモヒカン頭になっていて楽しそうに怪演。跳ねまくるアクションで存在感を放っていたと思います。
ただし、アジアのアクションスターたちが目立っているのに対して、タイトルにもなっている主人公ヴィン・ディーゼルは、意外と重みのあるアクションを見せてくれない。なんとなく主役だからという理由で危機を乗り越えているように見えて、少し物足りなさを感じました。
トリプルXシリーズはもともと、007に対抗する形でエクストリームスポーツとスパイアクションを融合させた新しいスタイルが斬新です。でも今作の主人公はやたらチームプレイを重視していて、「こんなに仲間を大事にするキャラだったっけ?」と違和感。どちらかというと個人主義でガンガン突き進むタイプだったはずが、いつの間にかミッション・インポッシブルのようなチームものになっていました。
さらに、主人公が集めたチームの面々が「旧知の仲」みたいな空気を出しているのに、誰が誰だかわからないキャラばかりで盛り上がりきれなかったです。特に2作目を観ていない人にとっては、クライマックスで突然出てくるキャラに戸惑うと思います。
ストーリーも、最初はヴィン・ディーゼルのチームとドニー・イェンのチームの対立構図かと思いきや、トリプルXが何人も出てきて共闘する流れに変わる。悪の政府関係者と戦う展開になるけど、もう少し単純に「悪の組織 vs 正義のヒーローたち」にしていた方が、ストーリーの粗が気にならずアクションに集中できたはずかなと思ったり。
そして肝心のアクションも、カットが細かすぎて動きが見づらく、せっかくのアクションスターたちの技が活かされていないのが残念でした。
とはいえ、見せ場の連続、大爆発の連続で、何も考えずに没入できるエンタメ作品であることは間違いなしで。トリップできる映画として、「何も考えずに楽しめるアクション映画」を探している人にはぴったりだと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/02/26 チネチッタ川崎 2017/10/02 Amazonプライム・ビデオ
監督 | D・J・カルーソー |
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脚本 | F・スコット・フレイジャー |
出演 | ヴィン・ディーゼル |
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ドニー・イェン | |
ディーピカ・パーデュコーン | |
クリス・ウー | |
ルビー・ローズ | |
トニー・ジャー |
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