●こんなお話
文明崩壊後のアメリカで、免疫を持つ少女を巡り男が旅をする護送と再生の話。
●感想
2003年、テキサス州オースティンで暮らすジョエルは、娘サラと弟トミーと共に日常を送っていたが、突如として発生した寄生菌による感染症が世界中に拡大し、感染者が凶暴化する事態が起こる。街は一夜にして混乱に陥り、ジョエルはサラを連れて脱出を図るが、避難の最中に軍の命令で民間人が排除される現場に遭遇し、兵士の銃撃によってサラは命を落とす。
それから20年後、文明が崩壊したアメリカでは軍による統制区域と反政府組織ファイアフライが対立し、ボストンの隔離区域でジョエルは密輸業者として生活している。相棒のテスとともに物資を扱う日々の中で、ファイアフライの指導者マーリーンから少女エリーを指定場所まで送り届ける仕事を引き受ける。エリーは感染者に噛まれても発症しない免疫を持つ存在であり、その体が治療法開発の鍵になるとされていた。
ジョエルとテスはエリーを連れて隔離区域を脱出するが、途中の検問でエリーが感染反応を示しながらも発症していない事実が明らかになる。逃走中に身を隠した廃墟で、テスがすでに感染していたことが発覚し、彼女は追跡してきた兵士や感染者を足止めするためにその場に残り、爆発の中で命を落とす。
ジョエルはエリーと二人で旅を続け、道中で生存者ビルの町に立ち寄る。そこではビルとパートナーのフランクが長年共に暮らしていたが、フランクが病に倒れたことで二人は毒を飲み、静かに人生を終えていたことが手紙から明らかになる。ジョエルは残された車と物資を使い、さらに西へ進む。
カンザスシティでは武装した反乱勢力に支配された街で襲撃を受け、ヘンリーと弟サムと出会う。地下トンネルを通って脱出した後、サムが感染していたことが判明し、翌朝ヘンリーは感染した弟を射殺し、その直後に自らも命を絶つ。ジョエルとエリーは再び二人だけの旅に戻る。
ワイオミング州でジョエルは弟トミーと再会し、彼が安定した共同体で暮らしていることを知る。ジョエルはエリーを託そうとするが、エリーはジョエルと共に行くことを選び、二人は再び旅を続ける。大学跡地でファイアフライの痕跡を発見するが、そこで襲撃を受けジョエルは重傷を負う。
冬の間、エリーはジョエルを看病しながら食料を確保するために鹿を狩る。その際に出会ったデヴィッドの集団と関わることになるが、彼らは人肉食を行う集団であり、エリーを拘束し仲間にしようとする。エリーは拘束された状態から脱出し、デヴィッドと対峙して激しく抵抗し、最終的に刃物で何度も切りつけて殺害する。直後にジョエルが駆けつけ、二人は再び合流する。
春になり、二人はユタ州ソルトレイクシティに到達する直前、謎の集団に襲われて意識を失う。気がつくとファイアフライに保護されており、エリーの免疫を利用するためには脳を摘出する必要があり、その手術でエリーは命を落とすと告げられる。
ジョエルはこれを拒否し、施設内で武装した兵士たちを次々に射殺しながら手術室に突入し、執刀医を撃ち殺してエリーを連れ出す。逃走の途中でマーリーンと対峙し説得されるが、ジョエルは彼女も射殺して口封じを行う。
その後、意識を取り戻したエリーに対し、ジョエルはファイアフライは研究を断念し免疫のある人間は他にもいると嘘を伝える。ワイオミングへ戻る道中、エリーはジョエルに真実を誓うよう求め、ジョエルは嘘のまま誓う。エリーはそれを受け入れ、二人は共同体へ向かって歩き続けておしまい。
全体として、人間ドラマに大きく重心が置かれている作品だと感じました。特にジョエルとエリーの関係が、単なる運び屋と依頼対象から疑似的な親子関係へと変化していく過程は丁寧に描かれており、感情の積み重ねがしっかりと伝わってきます。
一方で、各エピソードで別の人物に焦点を当てる構成は好みが分かれる印象でした。ビルとフランクの過去や、エリーの友人との時間などは物語に厚みを与えている反面、本筋の進行が一時的に止まる感覚もあり、テンポにゆるやかさを感じる場面もありました。
感染者との直接的な戦闘やサバイバルの緊迫感は抑えめで、人間同士の対立や心理的なやり取りに重点が置かれている点も特徴的です。そのため、純粋なパニックやアクションを期待すると印象が異なるかもしれませんが、人物の選択や感情を追う視点で見ると深みのある構成になっています。
終盤のジョエルの選択は非常に印象的で、世界を救う可能性よりも目の前の一人を選ぶ行動には強い余韻が残りました。善悪で単純に割り切れない判断が提示され、その後のエリーとの関係にも影を落とす展開は、物語の核心として強く記憶に残ります。全9話というコンパクトな構成の中で、旅と関係性の変化をしっかり描いたシリーズだと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2026/03/29 U-NEXT
| 監督 | クレイグ・メイジン |
|---|---|
| 脚本 | クレイグ・メイジン |
| ニール・ドラックマン |
| 出演 | ペドロ・パスカル |
|---|---|
| ベラ・ラムジー | |
| ガブリエル・ルナ | |
| アナ・トーヴ |

