●こんなお話
未確認生物を探る探検隊番組を制作する人たちのドタバタの話。
●感想
元テレビ番組の人気企画「探検隊もの」を彷彿とさせるパロディ作品。番組風のナレーションや独特の演出で、主人公が秘境へと足を踏み入れる様子を描いていく。主人公は真剣に役に向き合い、探検に挑もうとするが、現場のスタッフや仲間たちはどこか抜けていて、真面目に取り組もうとする主人公との温度差がコントラストになっている。
番組調の演出が多用され、映像のトーンもテレビ番組のような軽快さを持って進行していく。舞台はジャングルで、伝説の未確認生物を追い求めながら、次第に現地の政府軍と反政府軍の内戦に巻き込まれていく。なぜか主人公たちは反政府軍に加勢することになり、武器を手に取り戦いへと向かっていく。
危険を感じた主人公が「これはただの番組撮影ではない」と訴えようとするが、仲間たちはどこか鈍感で、すべてを演出や台本と受け取ってしまう。そのため、戦場のような状況に飛び込むことに疑問を抱きつつも、流されていくような形で協力していく。話は次第にエスカレートし、戦況を変えるために「伝説の三つ首の怪物」を製作するという突飛な展開へと向かっていく。
しかし、最後の首がうまく出せず混乱が起こるなど、物語はカオスな様相を呈していく。番組スタッフと探検隊のメンバーたちが一致団結してこの危機を乗り越えようとする姿が描かれるが、どこか噛み合っていないまま物語はエンディングへと突入していく。
この作品は、探検隊番組という昭和のテレビ文化へのオマージュが込められたコント風味の強い映画で、パロディとしての味わいは確かにあったと思います。映像やナレーションの雰囲気など、昔ながらのテレビ演出を知っている方には、思わずクスリとする場面もあったのではないでしょうか。
ただ、映画として物語の軸を追ってみると、やや散漫な印象を受けました。主人公が真面目に役作りをして撮影に臨もうとしているのに対し、周囲は適当なノリで進行していて、そのギャップが物語を面白くしてくれるかと期待しましたが、あまり活かされていなかったように思います。
中盤から後半にかけては、政府軍と反政府軍の争いに巻き込まれる展開となりますが、なぜ主人公たちが反政府軍に協力することになったのか、そこが唐突に感じられました。日本のテレビ番組だという前提があれば、まず相手に事情を説明する、あるいは撮影中止を提案するといった選択肢があるように思えたため、少し物語に入り込みづらい部分がございました。
さらに、怪物を作って敵を追い返すという展開においても、作り物の怪物にそこまでの威力があるとは思えず、説得力に欠けていた印象です。首がうまく出ない、というクライマックスも盛り上がりには繋がりにくく、もう少し工夫がほしかったと感じました。
ただ、大人たちが一見バカバカしいことを本気でやる姿勢には、それなりに熱意が込められていて、真剣に取り組むことの尊さを描こうとしていた意図は感じ取れました。もう少し演出や構成に丁寧さが加われば、より伝わるものがあったのではないかと思います。
☆☆
鑑賞日: 2018/02/20 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 山本透 |
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脚本 | 徳尾浩司 |
金沢達也 | |
山本透 | |
原作 | 荒木源 |
出演 | 藤原竜也 |
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ユースケ・サンタマリア | |
小澤征悦 |
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