●こんなお話
子育てする人たちの話。
●感想
初対面ではそりが合わず、互いに距離を取っていた男女が、時間をかけて少しずつ歩み寄り、やがて障害を乗り越えて結ばれていく──そんな王道のラブストーリーとして展開していくドラマでした。ただ、その関係性の変化に説得力を持たせるには、もう少し2人のやり取りや心の動きが細やかに描かれていればという印象も持ちました。
物語の流れとしては、主役2人の関係に直接迫る描写よりも、職場のトラブルや周囲の人間関係、さらには子どもたちにまつわる出来事など、どちらかといえば脇のエピソードに焦点が当てられているように感じました。そのため、主人公たちが当事者として問題に巻き込まれるというよりも、外から見守る立場にいるようにも見えて、恋愛の物語としての熱量がやや控えめだったように思います。
終盤ではそれぞれが現在の恋人や婚約者に別れを告げ、ようやく2人の心が通じ合い恋人同士になるというラストを迎えるわけですが、ここに至るまでの過程が少し淡々としていて、観ていて「この2人がどうなっても構わない」とまでは言わないまでも、そこまで強く感情を動かされなかったのが正直な感想です。
また、舞台となる弁護士事務所の描かれ方も、現実感を求めるものではないとしても、なかなか独特な世界観で、コメディとして見ても入り込みづらい面がありました。登場人物たちのテンションが常に高く、やや浮世離れしているように見えてしまう部分もあり、感情移入しにくいところがあったのは否めません。
そして料理人の男性側が何度も弁当をぶちまける描写も印象的で、確かにコメディリリーフとしての演出なのかもしれませんが、何度も続くとその意図が少し伝わりにくくなってしまったように思います。せっかくの料理シーンが、もう少し丁寧に描かれていれば、登場人物の内面を映す場面にもなったのではないかと感じました。
タイトルにある「全開ガール」という言葉が、物語のどこにかかっているのかは最後まで明確には伝わってこなかったです。主人公が何かに全力で突き進むという姿勢は見られたものの、それが作品全体に一貫しているかというと少し難しい印象を受けました。
とはいえ、ガッキーがスーツ姿で颯爽と歩く姿はやはり見ていて気持ちがよく、それだけでも画面に華がありました。物語の内容よりもその存在感に魅せられる部分が多く、彼女が演じるキャラクターの明るさや真っ直ぐさに元気をもらえたという気持ちはあります。
また、子どもたちの演技がとても素晴らしく、純粋で一途な感情の揺れがしっかりと伝わってきて、むしろ主役の恋模様よりも、子どもたちの想いや言葉のほうに心を動かされる場面が多かったです。感情の機微をしっかりと表現できる子役たちがいてこそ、ドラマとして成立していたのだと強く感じました。
全体的には、ストーリーの起伏は少なめですが、出演者の魅力で最後まで引っ張っていくタイプの作品だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2011/09/25 フジテレビ
脚本 | 吉田智子 |
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出演 | 新垣結衣 |
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錦戸亮 | |
平山浩行 | |
蓮佛美沙子 | |
鈴木亮平 | |
薬師丸ひろ子 | |
竹内力 |