●こんなお話
ヤクザ襲撃事件から19年後に事件関係者の息子娘たちが復習をする話。
●感想
【GONIN】ファンにはたまらない続編で、あの世界観がスクリーンに帰ってきただけでもう満足できる一本だでした。今回の主人公たちは、なんと1作目の主人公たちの息子たちという設定。前半では1作目の映像がかなり使われていて、それぞれの過去と現在の状況が並行して描かれる構成になっています。そのおかげで、キャラクターの背景も自然にわかってくるし、過去作を知っている人間としては胸が熱くなる展開の連続。
そこから彼らの復讐劇がスタートし、殺し屋が放たれ、そしていよいよクライマックスの銃撃戦へとつながっていく。映画全体を通してバイオレンス描写は劇画タッチで、まさに石井隆監督らしさ全開。血の匂いがスクリーン越しに立ち上がってくるような、スタイリッシュでありながらも泥臭さが残るアクションは健在でした。
中でも泣けたのは、根津甚八の登場シーン。あの登場の感動は本当にすごかったです。そしてクライマックスで友情出演のあの人が放つ「ヒズさん…」というセリフからの銃撃。これだけで観た価値があるものでした。さらに主人公の「また会おうぜー!」の叫びとともに、主役から脇役まですべてのキャラクターが勢揃いする銃撃戦は、もはや叙事詩のような重みと感動があって、涙なしには観られなかったです。
ただし、この映画の最大の前提は「GONINファンであること」で。そこが外れてしまうと厳しいと思われます。全体的にテンポが悪く、展開までの助走が長すぎるため、話に入り込めない人も多いはずで。主人公たちもやや描写が薄く、感情移入しづらいです。撃たれても撃たれてもなかなか死なないキャラクターたちには、シリアスを突き抜けてギャグになりかけている部分もありました。
殺し屋役の竹中直人が酸素ボンベを引きずって登場するという奇抜なキャラ設定はユニークだったですが、やはり1作目のビートたけしの存在感には及ばなかったです。あの凄みや狂気を超えるのはやはり難しいかと。
それでもやっぱり、血しぶきが飛び交うバイオレンスの舞踏会に全員が集結する終盤は、シリーズの完結としてふさわしい見応えがあり。石井隆の世界観の総決算として、これはこれで強烈に印象に残る一本だったと思います。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2015/10/01 TOHOシネマズ川崎 2018/05/31 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 石井隆 |
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脚本 | 石井隆 |
出演 | 東出昌大 |
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桐谷健太 | |
土屋アンナ | |
柄本佑 | |
安藤政信 | |
テリー伊藤 | |
井上晴美 | |
りりィ | |
福島リラ | |
菅田俊 | |
根津甚八 | |
鶴見辰吾 | |
竹中直人 | |
佐藤浩市 |
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