映画【ハリウッド監督学入門】感想(ネタバレ)

FOREIGN FILMMAKERS’ GUIDE TO HOLLYWOOD
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●こんなお話

 中田秀夫監督がハリウッドで【ザ・リング2】を作った経験から、映画の都ハリウッドで映画がどのように作られていくのか。をハリウッドで活躍する映画人たちのインタビューを交えて描いていくドキュメンタリー。

●感想

 ハリウッドで思い通りに映画を作れるのはスピルバーグやロバート・ゼメキス、リドリー・スコットなど本当に一部の映画監督だけで、ほとんどの作品は製作会社や撮影所の意見が取り入れられていく。
 そもそも企画の段階が日本とは違い進みが遅い。シナリオのアイデアがパクられないように1年で登録されるシナリオの数は3万本という凄さ。そしてそれを常に同時進行で企画が動いている。

 いくつか重要な言葉が出てきて、【グリーンライト】と呼ばれる製作のGOサインが出るまで。映画製作がビジネスなため、大金を動かすために。監督の作家性というよりビジネスとして映画がつくられていく。
 そのためにいろんな人たちが口を出してくる。そのため個性的な映画というより誰もが楽しめる映画。結果的に似たような映画が作られてしまうと思いました。

 もう1つは【ガバレッジ】という言葉。
 監督のイメージで撮られるのではなく予算があるため1つのシーンを全アングルから撮られるということ。それは予算が少ない日本映画などではできない反面、お金がたくさん使えるからできるということ。
 「編集でロングショットだと感情が伝わりにくいだろ。アップを多用すればわかりやすい。映画はスクリーンで見るものだけど、残念ながらほとんどの人は家のテレビで見るんだ。だからアップを多用したほうがいいだろ」という言葉も出てきたり。

 そして【テストスクリーミング】という。
 編集段階で試写を行い、5段階評価でしてもらい。その結果で編集を変えるというもの。
 これも予算があるからできることで、良い部分もある反面、デメリットもあるわけで。監督が「これでどうだ」と自信を持って作っても、テストスクリーミングで否定されれば変更しなくてはいけなくて、「自動車を作る工場みたいだ」と語る中田監督。
 「テストスクリーミングの結果を受けて、それを全部真に受けてしまうのも問題」と語るプロデューサーさんの言葉が印象的でした。

 ビジネスであり大金が動くため、当然ヒットさせないといけないわけで。そのために全てをデータ化数値化して、1番良いポイントで映画を作っていくというシステム。けれど撮影監督が言う「型通りの映画を作りたいわけではない。市場があるから作られるだけで、本当は面白い作家を探してる。そのために世界中の映画監督を招いているんだ」という言葉なんかも印象的でした。
 それは面白い映画できる反面、似たような同じような映画が作られてしまう今のハリウッド映画の製作の裏側をほんのちょこっと見られて面白いドキュメンタリーでした。

☆☆☆

鑑賞日:2013/07/06 DVD

監督中田秀夫 
製作中田秀夫 
出演ウォルター・パークス 
ミシェル・ウェイスラー 
ロイ・リー 
ジュリアン・テュアン 
ガブリエル・ベリスタイン 
マイケル・クニュー 
ハンス・ジマー 
ジョー・メノスキー 
一瀬隆重 
清水崇 
ブライアン・ウィッテン 
ジョナサン・リーベスマン 
マイケル・プライス 
ランデル・ルデル 
マイク・エプリー 
ノラ・ベハール 
ドロン・メンナ 
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