●こんなお話
山本五十六と太平洋戦争の話。
●感想
三国同盟を結ぶべきだという流れが強まる中、海軍次官として陸軍などからも様々な圧力がかかってくるけど、主人公は一貫して反対する。けれども、米内内閣が陸軍の圧力で倒れ、次の内閣で海軍も三国同盟を受け入れることになってしまう。そんな中でも、主人公だけが「アメリカと戦ってどうやって国力の差を埋めるんだ」と問い続ける姿勢を貫いている。
その後、主人公は連合艦隊司令長官となり、アメリカと戦うなら奇襲しかないという考えから、真珠湾攻撃に向けて航空部隊の訓練に力を入れる。周囲の反対を押し切ってまで実行に移し、真珠湾攻撃が成功。しかし、彼の本心はアメリカとの全面戦争ではなく、早期講和。そのためには敵の空母戦力を叩く必要があると判断し、ミッドウェイ攻撃を仕掛ける。
けれど、現場ではミッドウェイ島を先に攻撃するか、敵空母を狙うかで迷いが生まれ、結果としてアメリカの空母の反撃を受けて、日本の空母が次々に撃沈されてしまう。そこからはソロモン諸島やガダルカナル島の戦いが続き、支援を重ねる中で主人公も疲弊していく。
若い飛行士たちと笑顔で挨拶を交わす場面もありながら、彼らが次々と戦死していく姿には胸が痛くなりました。最後は、敵の待ち伏せ攻撃を受け、撃墜されて物語はおしまい。
主人公は日米開戦に反対し、右翼団体から命を狙われるほど。命を守るために連合艦隊司令長官となった彼が、自ら真珠湾攻撃という作戦を立案するという矛盾を抱えながらも、戦争を早く終わらせようとする合理主義者として描かれていました。三国同盟を受け入れる流れになったときでも、「アメリカに頼っている資源が断たれることについてどうするのか」と、あくまで現実に即した疑問をぶつけ続ける姿が印象的でした。
太平洋戦争の流れをダイジェストで追える構成になっていて、真珠湾攻撃、ミッドウェイ、ガダルカナルなどの重要な戦いを一通り知ることができるのも勉強になるポイント。上層部の政治劇だけじゃなく、若い飛行士たちにも光が当たっていて、命をかけた戦いの重さがリアルに伝わってくるものでした。
ただ、序盤は会議シーンが多く、集中して観られたものの、徐々にテンポが単調に感じて飽きが出てくる部分もありました。
とはいえ、「反対しても決まったら全力でやる」という姿勢や、状況に振り回されながらも責任を果たそうとする山本五十六という人物の姿がしっかり描かれていて、観終わったあとに「この人のことをもっと知りたい」と思わせてくれる良い映画だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2011/09/07 DVD 2023/07/13 U-NEXT
監督 | 丸山誠治 |
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特技監督 | 円谷英二 |
脚本 | 須崎勝弥 |
丸山誠治 |
出演 | 三船敏郎 |
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松本幸四郎 | |
森雅之 | |
柳永二郎 | |
宮口精二 | |
藤田進 | |
佐藤允 | |
清水将夫 | |
加山雄三 | |
黒沢年男 |