●こんなお話
施設にいた主人公が脱出して行方不明者のふりをして、その家族に忍び込んだら…な話。
●感想
精神科の診療所に一人の女性がやってきて、患者たちを見て回るシーンから物語は始まります。その中にいたリーナという患者は、見た目こそ子どもですが、実際は成長が止まってしまった30歳の女性。職員からは、極めて危険なサイコパスだと説明されます。
そんなリーナは、あっさりと脱走に成功。行方不明者リストの中から、自分によく似た少女「エスター・アルブライト」の写真を見つけ、彼女になりすまして警察に出頭します。
こうしてリーナは“エスター”としてアメリカの裕福な家族のもとへ迎えられます。行方不明だった娘が戻ったということで家族は歓喜に包まれますが、その一方で、エスターの失踪を追っていた刑事が違和感を抱き、彼女の周囲を調べ始めます。
刑事はエスターの指紋を照合し、本人と一致しないことに気づくのですが、その直後にエスターに襲われてしまいます。さらにそこへ現れるのが、なんと母親。実はこの家族、本物のエスターはすでに死亡しており、母親と長男がその死体を隠し、父親には秘密にしていたという衝撃の事実が明かされます。つまり、家族は最初からこの“エスター”が偽物であることを承知の上で受け入れていたのです。
ここから物語は、エスターと家族の間での“秘密の暴露合戦”へと発展。お互いに正体をばらすぞ、ばらさないぞとマウントを取り合い、やがて殺し合いへと発展していきます。
父親が外出中の夜、母親と長男がエスターを始末しようとしますが、もみ合いの末に争いは激化。長男と格闘し、家は火事に。屋上で母親とエスターが争う中、ギリギリのところで父親が駆けつけますが、間に合わず、母親と父親は屋上から落下。生き残ったエスターは、再び孤児となるのでした。
すでに前作『エスター』で、主人公リーナ=エスターの秘密は明らかになっていたため、今回はその設定を引き継ぎつつ、彼女が別の家族へ入り込むところから物語が始まります。その新たな家族にもまた重大な秘密があり、それが明かされていく展開には素直に驚かされました。
イザベル・ファーマン演じるエスターも、年齢を重ねたとは思えないほど自然に“子どもらしさ”を表現していて、撮影の工夫も含めて見どころがありました。
ただし、サイコパスとしてのエスターが危機を巧みに乗り越えていくような面白さにはやや欠け、追いかけっこや肉弾戦のような展開が中心になってしまったのは残念。さらに画面が全体的に暗めで、状況がやや見づらい場面も多く、視覚的な満足感には乏しかった印象です。
☆☆☆
鑑賞日:2023/07/14 Amazonプライム・ビデオ
監督 | ウィリアム・ブレント・ベル |
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脚本 | デヴィッド・コッゲシャル |
原案 | デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック |
アレックス・メイス |
出演 | イザベル・ファーマン |
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ジュリア・スタイルズ | |
ロッシフ・サザーランド | |
マシュー・アーロン・フィンラン | |
ヒロ・カナガワ |