●こんなお話
ドイツ軍の戦車部隊の侵攻作戦とそれを阻止しようとする連合軍の話。
●感想
大量の戦車が画面いっぱいに何十台も動き回る映像は、今見ても圧倒される迫力があり、まさに映画ならではのスペクタクルが堪能できる作品でした。物語は連合軍側とドイツ軍側の両面から描かれ、交互に視点が切り替わっていく構成。開戦前から侵攻の準備が進む様子が積み重ねられ、やがてドイツ軍の進撃が始まる流れが、緊張感と期待感を高めていきます。
侵攻開始後は、ひたすらドイツ軍が勢いよく前進し、連合軍側が苦戦を強いられる展開が続く。その中でも、商売のために部隊を離れ商品を確認しに行く兵士や、ドイツ軍司令官の知らないところで起こる捕虜の虐殺など、戦場の裏で繰り広げられる人間模様も描かれ、単調さを感じさせない。マクロな戦況の動きと、ミクロな人間ドラマが同時進行することで、戦争映画としての奥行きが生まれていると思います。
後半では、ドイツ軍の補給路に問題があることを察知した連合軍が、偵察機の命がけの行動で重要な情報を手に入れる場面も挟まれる。さらに、ドイツ軍の後方に潜入し、憲兵(MP)を装ってかく乱する兵士たちの姿もあり、サスペンス的な緊張感が盛り上がる。敵地深くでの心理戦とアクションが絡み合い、見応えのある時間が続く。
中でも印象的なのは、ドイツ軍戦車部隊のヘスラー大佐を演じたロバート・ショーの存在感でした。任務に忠実で冷酷な判断を下し、戦場を駆ける姿は圧倒的なかっこよさを放っていました。人間味を排した行動が部下からの反感を買いながらも、自らを狙撃した少年を殺さず、その父親を射殺する冷徹さが際立つ。そしてクライマックス、燃え上がる補給所へ突撃する姿には、敵でありながらも感動を覚えてしまうほどの凄みがありました。
一方で、連合軍側の兵士を率いるチャールズ・ブロンソンの活躍がやや控えめだったのは惜しく感じられます。捕虜となった後、ヘスラー大佐に捕虜の扱いを訴える場面こそ印象的だが、戦闘シーンでもう少し存在感を見せてほしかったと思います。全体を通して、現場の兵士たちが命懸けで戦っているのに対し、上層部の判断が必ずしも的確でない様子が描かれており、どの時代、どの組織でも当てはまる現実を感じさせる映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2020/05/10 NHK BSプレミアム
監督 | ケン・アナキン |
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脚色 | フィリップ・ヨーダン |
ミルトン・スパーリング | |
ジョン・ネルソン |
出演 | ヘンリー・フォンダ |
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ロバート・ショウ | |
ロバート・ライアン | |
ダナ・アンドリュース | |
ジョージ・モンゴメリー | |
タイ・ハーディン | |
ピア・アンジェリ | |
バーバラ・ウェール | |
チャールズ・ブロンソン | |
ヴェルナー・ペータース | |
ハンス・クリスチャン・ブレッヒ | |
ジェームズ・マッカーサー | |
テリー・サヴァラス |