●こんなお話
戊辰戦争に巻き込まれた新発田藩が生き残るために罪人とかを新政府軍と戦わせる話。
●感想
主人公が家に戻ると妻が侍に手籠めにされたと聞かされ、その加害者を刺殺したことで捕縛され、死刑を待つ身となるところから始まります。時は戊辰戦争、新発田藩にもその戦火が迫っており、奥羽列藩同盟への加入を迫られる中で、家老たちは進退に悩んでおります。
新発田藩の城に同盟軍が先に到着したことから、家老は彼らを迎え入れつつ、裏では新政府軍とも接触し、官軍側につく策略を図ります。そのため、同盟軍を一時的に足止めする必要が生じ、「罪人に戦えば無罪放免」という条件で決死隊を組織することになります。主人公もその一人として砦へ向かうこととなります。
戦場では、大砲の応酬、煙による視界不良の中での白兵戦が繰り広げられます。主人公を兄と勘違いする花火師が自作の爆弾で活躍する場面も印象的でした。しかし、戦いの後、侍たちが罪人を無罪にする気がないことが発覚し、裏切りにより対立が生じ、死者も出ますが、やがて侍側が謝罪します。
一方、家老は同盟軍に「兵を出せない」ことを信じさせるため、百姓の首をはねる暴挙に出ます。しかし、それが実は余命わずかの者であったことが判明し、切腹を命じられる展開に。
罪人たちは降伏を決意しますが、侍が人質を射殺したことで状況は悪化し、新政府軍の怒りを買います。雨の中、火を消さぬよう奮闘する場面など、臨場感あふれる描写が続きます。主人公は一時降伏しますが、再び危機に直面。花火師の活躍で脱出し、命を落としたかと思われた彼も奇跡の復活を遂げます。
その後、油田を爆破する奇策により新政府軍を撃退することに成功。役目を終えた主人公は妻のもとへ向かいますが、新発田藩の軍が再び砦に現れ、罪人たちを皆殺しにしようとします。これに怒った侍が1人で敵をなぎ倒し、家老を追い詰め、主人公も爆弾で敵軍を巻き添えにします。
物語の最後は、新発田藩が平和を取り戻し、主人公の妻に感謝を伝えた娘が花火師と共に街を走り抜けて終幕となります。
侍と罪人という身分差別や人権問題を背景に、少数精鋭が大軍に挑むという王道の熱い展開が描かれており、漫画のような個性豊かなキャラクターも魅力的でした。殺陣も多く、アクション映画として飽きさせない工夫が随所に見られました。
一方で、セリフの聞き取りにくさや、各キャラクターがなぜ命を懸けて戦うのかといった背景がやや薄く、没入しにくい部分もありました。特に家老側のパートはやや冗長で、テンポが鈍く感じられました。
爆弾の多用によりアクションにバリエーションが少ない印象も受けましたが、身体が吹き飛ぶなどの過激な描写を含め、エンタメ性に富んだ一作であったことは間違いありません。
☆☆☆
鑑賞日:2024/11/10 イオンシネマ座間
監督 | 白石和彌 |
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脚本 | 池上純哉 |
原案 | 笠原和夫 |
出演 | 山田孝之 |
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仲野太賀 | |
尾上右近 | |
鞘師里保 | |
佐久本宝 | |
千原せいじ | |
岡山天音 | |
松浦祐也 | |
一ノ瀬颯 | |
小柳亮太 | |
本山力 | |
野村周平 | |
田中俊介 | |
松尾諭 | |
音尾琢真 | |
柴崎楓雅 | |
佐藤五郎 | |
吉沢悠 | |
駿河太郎 | |
松角洋平 | |
浅香航大 | |
佐野和真 | |
安藤ヒロキオ | |
佐野岳 | |
ナダル | |
木竜麻生 | |
長井恵里 | |
西田尚美 | |
玉木宏 | |
阿部サダヲ |