映画【隻眼の虎】感想(ネタバレ):猛虎と伝説の猟師が激突!

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●こんなお話

 日本軍の偉い人が「山にいる虎が欲しい」ということで山の神の虎と戦う猟師や軍人さんたちの話。

●感想

 雪山を歩く主人公と、その息子に猟の技術を教える場面から始まります。時代は日本統治下の朝鮮半島。智異山(チリサン)に潜む「山の神」とまで恐れられる虎を、日本軍が帰国前にどうしても捕えたいと考え、地元の猟師たちに協力を依頼します。

 地元の猟師団が集結し、虎を捕獲するために山へと向かいます。主人公の息子には恋人がおりますが、その恋人には親の決めた許嫁ができてしまい、複雑な心情を抱えることになります。さらに、息子は猟師になりたいと望んでいますが、主人公はそれを許しません。しかし息子は独断で日本軍に直談判し、猟師団のボスの承認も得てチームに加わることになります。

 猟師団は日本軍と協力して作戦を展開しますが、虎は別の場所に出没し、大惨事を引き起こします。主人公の息子も虎に襲われて行方不明になりますが、狼に襲われそうなところを、かつて主人公が子どもの頃から見守っていた虎=「山神様」に助けられ、父のもとへと運ばれます。

 その後の作戦では、軍人たちを囮にして虎をおびき寄せようとしますが、猟師団のボスが命を落とします。ついに主人公が山の頂上で虎を待ち受け、一騎打ちに。2人は頂から落下し、そのまま消息不明となります。日本軍はこれをもって撤退を決断し、おしまい。

 虎が何十人もの軍人をなぎ倒すスペクタクルなシーンは圧巻で、猛獣の恐ろしさを存分に感じることができました。弾丸を受けてもなお突進してくる虎の姿には、思わず息を呑みました。

 物語は「虎退治」を主軸にしながらも、主人公とその家族、さらには虎の親子という対比を通して、人間と自然との関わり、親と子の絆を描いており、重厚なテーマ性が感じられました。

 ただし、上映時間が140分近くとやや長く、特に序盤は主人公が山中で息子と過ごす時間が多く、劇的な展開が少ないため、やや退屈に感じられる場面もございました。アクションは主に仲間たちが担っており、主人公が本格的に動き出すのは物語の終盤です。

 また、虎の襲撃シーンは2回あり、クライマックスがやや既視感のある展開となっていたのも気になる点でした。さらに、終盤の対決は象徴的な演出がなされており、観客によって解釈が分かれそうな終わり方でもあります。

 大杉漣さん演じる日本軍の軍人が山を爆破する決定を下す場面もあり、その権限の強さに驚かされる場面でした。

 総じて、美しい山岳の自然描写や虎の存在感、そして親子の絆を軸としたストーリーに重みのある一本でしたが、演出面ではもう少しテンポよく展開してもよかったかもしれません。

☆☆

鑑賞日: 2017/02/06 DVD 2024/10/25 Amazonプライム・ビデオ

監督パク・フンジョン 
脚本パク・フンジョン
出演チェ・ミンシク 
チョン・マンシク 
キム・サンホ 
大杉漣 
チョン・ソグォン 
ソン・ユビン 

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