●こんなお話
ハチ公物語fromアメリカの話。
●感想
日本のお寺で拾われたと思われる秋田犬の子犬が、フェリーでアメリカに運ばれるところから始まります。アメリカに到着した子犬は、ある日、駅のホームで大学教授である主人公と偶然出会います。主人公は駅員に預けようとしますが断られ、やむを得ず自宅に連れて帰ることに。しかし、奥様は猛反対。家の中には置けず、外の物置で飼うことになります。しかも子犬が奥様の大切にしていた仕事道具を壊してしまい、怒られてしまいます。
そんな中でも主人公は子犬との時間を大切にし、職場に連れて行ったり、テレビでヤンキース戦を一緒に観戦したりと絆を深めていきます。その様子を見て、奥様も次第に心を許し、正式に飼うことを許可します。教授仲間から秋田犬の歴史について教わるなど、主人公も秋田犬について学び、「HACHI」と名付けます。
HACHIは主人の出勤と帰宅を駅で見送るのが日課になり、やがてその光景は駅の風物詩のように地域に溶け込んでいきます。しかしある日、HACHIはいつになく主人にまとわりつき、不安げな様子を見せます。その日、大学の講義中に主人は倒れて亡くなってしまいます。
それでもHACHIは毎日、駅前で主人の帰りを待ち続けます。やがて家族は引っ越しますが、HACHIはその家を抜け出して駅に通い続け、彼の姿は多くの人々の心を打ち、新聞に取り上げられ、募金活動まで始まるようになります。その姿を見た奥様も感動し、家族は新しい子犬を迎え入れ、主人の孫がその子犬を可愛がるというラストでおしまい
この作品で印象的だったのは、HACHIを演じる犬の素晴らしい演技です。喜怒哀楽の感情が表情に現れており、本当に「演技をしている」ように感じられました。まさに作品の核とも言える存在であり、そのリアルな表情がなければ成り立たない映画だったと思います。特に、老犬となっていく過程の表現は圧巻で、メイクなのか本物の老犬なのか分からないほどのリアリティがありました。
全体としては90分ほどの短い作品で、主人公とHACHIの出会いから友情、そして忠犬としての姿をじっくり描いています。周囲の人々も皆温かく、観ていて穏やかな気持ちになれる作品です。劇的な起伏は少ないものの、あえて淡々とした演出がされており、それが逆に心に残る良さでもあります。
全編に流れるピアノの旋律も作品全体の雰囲気をより温かく、感動的にしていました。ストーリー自体はやや教科書的で、大きな驚きはありませんが、「日本には忠犬ハチ公という実在の犬がいたのだ」と海外に紹介してくれるという点で、とても誇らしく、またアメリカの生活様式についても学べる内容となっていました。
☆☆☆
鑑賞日: 2010/01/30 DVD 2024/11/01 U-NEXT
監督 | ラッセ・ハルストレム |
---|---|
脚本 | スティーヴン・P・リンゼイ |
出演 | リチャード・ギア |
---|---|
ジョーン・アレン | |
サラ・ローマー | |
ケイリー=ヒロユキ・タガワ |