●こんなお話
ミュータント登録法案の間に揺れるミュータントたちの内輪もめの話。
●感想
物語は、ミュータントの登録や隔離を求める人間側の動きに対して、対抗しようとする3つの勢力がぶつかり合う三つ巴の構図で進んでいく。一方は人間に戦争を仕掛けようとする過激派、もう一方は人間との共存を目指す穏健派、そして中立的な立場や利用しようとする者たち。それぞれの思惑が複雑に絡み合いながら、物語はテンポよく展開していきます。
全体的に、今回は多くのキャラクターを登場させて紹介するような作りになっていて、まさに顔見世興行的な楽しさがありました。いろんな能力を持ったミュータントたちが次々と現れては、それぞれの持ち味を短い時間で見せていくのは見応えがあるし、派手なアクションも多めで視覚的に楽しいです。ただ、その分、キャラクター一人ひとりの背景や感情が薄くなってしまい、「この人はなぜこの陣営で戦っているのか?」「どういう気持ちで戦っているのか?」といった部分には物足りなさを感じてしまいました。背景の描写が浅いため、キャラに感情移入しづらく、やや薄味に感じられるところも。
また、物語の進行がかなり早く、さっきまで会話していたプロフェッサーXが次のシーンでは急に苦しみだして昏睡状態になっていたりと、テンポが速すぎて気を抜くと置いてけぼりになりそうな構成でした。展開の早さはスリリングで面白い部分でもあるけれど、もう少し緩急があると、感情の流れにもついていきやすかったかもしれないです。
ミュータント側の仲間たちは、能力的には「いかにも強そう」なキャラクターばかりが揃っているのに対し、敵側に登場するミュータントたちはあまり強そうに見えなかったのが少し残念。特に力持ちの男は、果たしてミュータントなのかすら疑わしい感じで、ただの怪力キャラに見えてしまいます。しかも人質の議員を持ち上げたはいいものの、手を滑らせて海に落としてしまうドジっぷりには、笑っていいのか戸惑ってしまいました。せっかくの敵役なのに、緊張感が少し抜けてしまった印象がありました。
さらに言えば、それぞれの勢力のトップに立つ人物たちが高齢すぎて、彼らが最前線で戦いの軸になるのは少し乗り切れない部分もあったり。もう少し若くてカリスマ性のあるリーダーがいても良かったかもしれないです。
とはいえ、敵の生命力を奪うことができるミュータントを巡る争いや、ミュータントたち自身が差別とどう向き合っていくのかというテーマはしっかり描かれていて、アクションだけでなく思想的な側面にも見応えがありました。ミュータントと人類の共存、対立、そして選択。その複雑な関係性をどう描いていくのかを楽しめる、続編としてなかなか見どころのある1本でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/08/30 Blu-ray
監督 | ブライアン・シンガー |
---|---|
脚本 | デイヴィッド・ヘイター |
出演 | ヒュー・ジャックマン |
---|---|
パトリック・スチュワート | |
イアン・マッケラン | |
ファムケ・ヤンセン | |
ジェームズ・マースデン | |
ハル・ベリー | |
アンナ・パキン | |
タイラー・メイン | |
レイ・パーク |
コメント