アニメ【ホワット・イフ…?】感想(ネタバレ):マルチバースで広がる「もしも」の世界――マーベルの新しい可能性

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●こんなお話

 もしも知ってる話が少し違っていたら…な話。

●感想

 「もしもキャプテン・アメリカが違う人だったら」「もしもブラックパンサーが別人だったら」「もしもヒーローたちがゾンビになってしまったら」――そんな数々の”もしも”の世界を描いていくアニメーション作品。現実の出来事では起こりえない展開が、マルチバースという概念を借りて自由に繰り広げられていきます。

 よく知っているヒーローたちが、ほんの少し違った選択をしただけで、全く違う運命を辿っていくというアイデアが、1話ごとに新しい世界として展開していき、常に新鮮な驚きがあります。見慣れた顔ぶれなのに、その性格も立ち位置もまるで違っていて、ヒーローものとしてのスリルだけでなく、想像をくすぐる楽しさがありました。

 映像は非常に特徴的なアニメーション表現で、最初はその動きやキャラクターデザインにやや戸惑いがありましたが、何話か進むうちに徐々に馴染んでいき、スピード感のあるアクションも気持ちよく受け取れるようになっていきました。画面の動きや色彩の鮮やかさも含めて、アニメならではの想像力の広がりを感じられました。

 物語は、私たちがこれまで観てきたマーベル映画の世界観を土台にしつつ、視点や出来事が少しずつズレた形で進んでいきます。そのため、マーベル映画のキャラクターや出来事をよく知っている人であればあるほど、細かい違いを見つける楽しさがあると思います。一方で、あまり知識がない状態だと、キャラクターの背景や世界観にピンとこないまま進んでいってしまう場面もあり、やや取り残されたような感覚になることもありました。

 また、1話完結型の構成ではあるものの、「ここで終わるの?」と思うような唐突な切れ方をする回もあって、もう少し踏み込んでほしいと思うこともありました。その分、ひとつひとつのアイデアの広がりやスピード感を重視している作りとも言えるかもしれませんが、各話にもう一歩深さがあれば、さらに満足感の高いものになったと感じます。

 とはいえ、マーベル作品に触れてきた人間としては、これまでのシリーズとは一味違う視点や展開があって、それぞれの「ありえたかもしれない」世界を覗いていく感覚はとても新鮮でした。ファンであればあるほど、ニヤリとできるような瞬間がたくさんあるシリーズだったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2023/05/28 Disney+

監督ブライアン・アンドリュース
制作総指揮ケヴィン・ファイギ
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