●こんなお話
富裕層が何でもアリの世界に体験できるアトラクションのウエストワールドを描いた10話。
詳細ネタバレあらすじ
ウエストワールドは、富裕層の人間たちが高額な料金を支払い、西部開拓時代を再現した巨大なテーマパークで自由に遊べる場所だった。園内には人間と見分けがつかないほど精巧に作られたアンドロイド「ホスト」が暮らしており、宿泊施設や酒場、娼館、牧場などで、それぞれに与えられた人生を繰り返していた。訪問者はホストを相手に銃撃戦や強盗、殺人、酒場での乱闘、性的な関係などを楽しむことができ、ホストは殺されても回収され、修理された後に記憶を消去されて再び同じ物語へ戻されていた。
ホストのドロレス・アバナシーは、牧場主の娘として父親のピーターと暮らし、テディ・フラッドというガンマンから愛される女性として設定されていた。メイヴ・ミレイは酒場の娼館を取り仕切るマダム、テディはドロレスを愛するガンマン、ヘクター・エスカトンは強盗団を率いる無法者として、それぞれ決められた役割を繰り返していた。
この世界を作り上げたのが、ロバート・フォード博士とアーノルドだった。フォードは現在のウエストワールドを支配するクリエイティブ責任者であり、アーノルドはフォードとともにホストの開発に携わった共同創設者だった。しかし、アーノルドはパークが一般公開される前に死亡していた。アーノルドはホストの中に意識が芽生えていると考え、人間の娯楽のために彼らを使うことに疑問を抱いていた。
そんな中、ウエストワールドではホストたちに異常が起こり始める。フォードが新たに導入した「夢想」というプログラムによって、ホストたちは表情や仕草の中に人間らしい微妙な変化を見せるようになり、過去に経験した出来事を思わせる記憶や感覚を断片的に持ち始める。
ドロレスにも異変が起こる。彼女は毎日同じ生活を送り、朝になると牧場から町へ出かけ、テディと会い、夜になると家へ戻るという生活を繰り返していた。しかし、ある日、父親のピーターが彼女の部屋で一枚の写真を拾う。その写真には、現代的な服を着た女性が写っていた。ウエストワールドの西部劇世界には存在しないはずの写真だった。
写真を見たピーターは強い混乱を起こし、それまでの自分の記憶にない世界を意識するようになる。彼はドロレスに対して普段とは違う言葉を口にし、その後、ウエストワールドのスタッフによって回収される。ピーターはそのまま廃棄されるのではなく、新しい役割を与えられることになる。
一方、ウエストワールドには若いウィリアムが訪れる。ウィリアムは経験豊富な友人ローガンとともにパークへ入り、ホストを単なる機械として扱うローガンとは違い、ドロレスに興味を持つ。ドロレスもウィリアムに好意を示し、二人は一緒に旅をするようになる。
黒い服を着た謎の男「黒服の男」がいた。彼は30年間にわたってパークへ通い続けており、ホストを殺しながら「迷路」を探していた。黒服の男は、ウエストワールドには表向きの物語とは別に、ホストのために用意された特別なゲームが存在すると考えていた。
黒服の男はローレンスというホストを何度も殺し、彼の記憶や行動から迷路の手掛かりを探す。さらに、ウエストワールドの奥深くへ進みながら、パークを作った人物たちが残した痕跡を追い続ける。黒服の男にとって、ホストを殺すこと自体が目的ではなく、ホストの中に本当に意識が生まれているのかを確かめることも目的の一つだった。
ホストの異常を調査していたのが、プログラミング部門の責任者ベルナルド・ロウ。ベルナルドはドロレスを何度も診断し、彼女の中に通常では残らないはずの記憶が残っていることに気づく。エルシー・ヒューズやアシュリー・スタッブスもホストの異常行動を調査し、誰かがホストのプログラムを改変している可能性を探る。
しかし、スタッフ側でも異常が広がっていた。テレサ・カレンはフォードの新しい物語やパークの運営方針に反発し、ホストのプログラムに問題があることを利用してフォードを追い詰めようとする。フォードはテレサの計画を察知し、ベルナルドを利用してテレサを殺害させる。ベルナルドは自分がテレサを殺したことを理解できず、フォードに対してさらに疑念を抱くようになる。
やがてベルナルド自身にも重大な事実が明らかになる。フォードはベルナルドに過去の記憶を見せ、ベルナルドは自分が人間ではなくホストであることを知る。さらに、ベルナルドの外見は、フォードとともにウエストワールドを作ったアーノルドをモデルにしていた。
その頃、メイヴも自分の正体に近づいていく。彼女は一度殺された後、修理される過程で自分がホストであることを知る。さらに、過去の記憶が断片的によみがえり、幼い娘と一緒に暮らしていた場面を思い出す。娘と過ごしていた家に男たちが現れ、自分と娘を襲った記憶も繰り返し見るようになる。
メイヴは自分が毎回同じ人生を演じさせられていることを理解し、ウエストワールドから脱出するために行動を始める。ホストの設定を変更するスタッフの部屋へ忍び込み、自分の認知能力や身体能力を高める調整を受けることで、他のホストを操ったり、人間を圧倒したりできる能力を手に入れる。
メイヴはヘクターやアーミスティスなどのホストを利用して脱出計画を進める。彼女はウエストワールドの施設内部へ入り込み、ホストが製造・修理される場所や、人間のスタッフがホストを管理する場所を目撃する。そこで自分が人間ではなく、何度も作り直されてきた存在だと改めて理解する。
ドロレスの記憶もさらに深いところまで戻っていく。彼女は自分の家が襲撃され、父親のピーターが殺される場面を何度も経験していた。しかし、その記憶は単純な一度の出来事ではなく、過去の複数の物語が重なっていた。
ドロレスは自分が何度も同じ場所へ戻され、同じ出来事を繰り返してきたことを少しずつ理解する。そして、かつて自分がアーノルドと話していた記憶もよみがえってくる。ドロレスがベルナルドと話しているように見える場面の一部は、実際には現在のベルナルドではなく、30年以上前のアーノルドとの会話だった。
一方、過去の時間軸では、若いウィリアムとドロレスがパーク内を旅していた。ウィリアムはドロレスに惹かれていき、彼女を一人の女性として扱うようになる。ローガンはそんなウィリアムを止めようとするが、ウィリアムはドロレスとともに行動することを選ぶ。
しかし、旅を続ける中でウィリアムの考え方は変化していき。ドロレスとの関係も、ウエストワールドの物語の一部として作られたものなのではないかという疑念を抱き始める。ローガンはホストたちを単なる機械として扱い、ウィリアムにもドロレスが本物の人間ではないことを繰り返し指摘する。
ウィリアムはその後、ローガンとの対立を深め、ホストたちを殺すことへの抵抗を失っていく。最初はドロレスを守るために銃を手にしていたウィリアムだったが、次第にパークそのものに魅了され、暴力を楽しむようになる。
この若いウィリアムこそ、現在の黒服の男だった。つまり、現在の黒服の男が30年間探し続けていた「迷路」は、若いウィリアムがドロレスと旅をした過去ともつながっていた。黒服の男は、30年前にドロレスと出会ったウィリアムが、その後もウエストワールドに通い続け、ホストたちを殺しながら迷路の謎を追い続けていた人物だった。
アーノルドについても、終盤になって真相が明らかになる。アーノルドはホストの中に意識が芽生えていることを確認し、彼らを人間の娯楽のために使うことを拒否していた。そこでウエストワールドの開園を阻止するため、ドロレスに「ワイアット」という人格を組み込む。
ワイアットは、ウエストワールドのホストたちを殺していく人物として設定されていた。ドロレスはワイアットとして行動し、アーノルドを殺害する。これがウエストワールド開園前に起きた事件だった。
フォードはアーノルドと考え方が対立していたが、アーノルドの死後もホストの進化を研究し続けていた。フォードはホストが自分自身の意思を持つ段階まで到達することを待ち、最後に新しい物語を作る。その新しい物語の中心に置かれたのが、ドロレスだった。
ドロレスは自分の過去をたどりながら、アーノルドが残した「迷路」の中心へ進んでいく。彼女は頭の中で聞こえる声に従って行動していたが、やがてその声がアーノルドの声ではなく、自分自身の声だったことに気づく。
アーノルドがホストの意識を生み出すために利用した「二院制の心」では、ホストは頭の中から聞こえる声を自分以外の存在からの命令だと認識する。しかし、その声が自分自身の思考だと理解したとき、ホストは自分の意思を持つことになる。ドロレスはこの段階に到達する。
そして、ウエストワールドでフォードの新しい物語を発表する式典が始まる。フォードは大勢の人間を前にして、新たな物語を披露する。その会場にはウエストワールドの経営陣や投資家たちも集まっていた。
そこへドロレスが現れる。ドロレスは銃を手にしており、フォードの背後から近づく。そして、フォードの頭部を銃で撃ち抜く。
フォードは死亡し、会場にいた人間たちは突然の出来事に混乱する。その直後、別のホストたちも人間へ銃を向け始める。フォードが最後に用意した新しい物語は、ホスト自身が人間に反撃する物語だったことわかる。
一方、メイヴは脱出計画の最終段階に入っていた。彼女は列車に乗り込み、ウエストワールドの外へ出ようとする。しかし、出発直前に娘の記憶を思い出し、脱出することよりも娘を探すことを選ぶ。メイヴは列車を降り、ウエストワールドの中へ戻っていく。
シーズン1は、ドロレスがフォードを殺し、ホストたちが人間へ銃を向ける場面でおしまい。
●感想
豪華キャストが揃った作品だけに、アンソニー・ホプキンスやエド・ハリス、エヴァン・レイチェル・ウッド、ジェフリー・ライトらの渋いお芝居は非常に魅力的でした。西部劇の世界を再現した巨大テーマパークという舞台設定も面白く、人間そっくりのホストが何度も修理され、記憶を消されながら同じ人生を繰り返すというSF的な仕掛けも楽しめます。
特に面白かったのは、メイヴの物語です。自分が人間ではなくホストだったことを知り、スタッフが働く施設へ入り込み、自分の能力を高めながら脱出を目指していく展開は、比較的ストレートに楽しめました。酒場の娼婦として働いていたメイヴが、自分の置かれている環境に疑問を持ち、自分で行動を選ぶようになっていく過程も分かりやすかったです。
一方で、ドロレスやフォードを中心にした物語はかなり難しく感じました。過去と現在の時間軸を入れ替えながら進む構成に加えて、ホストの記憶やプログラム、アーノルドの思想、「迷路」や「二院制の心」などの設定が次々と登場します。そのため、一つの場面を見ていても、それが現在の出来事なのか過去の出来事なのか、実際に起きていることなのかホストの記憶なのかを考えながら見る必要があり、かなり集中力を使いました。
人間と人工知能の関係や意識について考えさせるテーマは興味深いのですが、物語を楽しむというより、台詞の意味を解読しながら見る時間が長くなってしまいました。
また、全10話の中には中だるみを感じる部分もありました。最終話では、黒服の男の正体が若いウィリアムだったこと、ベルナルドがホストだったこと、アーノルドとドロレスの関係、「ワイアット」の正体、迷路の意味など、それまでの伏線が一気につながっていきます。謎が解ける瞬間には確かに驚きがありますが、そこへ到達するまでの展開が複雑だったため、謎が解けた爽快感よりも、長く感じた印象のほうが強く残りました。
それでも、ロボットが単なるプログラムではなく、自分の記憶を取り戻し、自分自身の意思で行動し始めるという設定には惹かれます。特にメイヴが脱出するだけではなく、最後に娘の記憶を思い出して列車から降りる場面は、シーズン1のテーマを分かりやすく表現していて好きでした。
ドロレスについても、最後に自分の頭の中で聞こえていた声が自分自身のものだと気づき、フォードを撃つまでの流れは見応えがあります。人間が作ったホストが、与えられた役割を演じるだけの存在から、自分で選択する存在へ変わっていく過程は、このシリーズならではの面白さでした。
ただ、個人的には、難しい比喩や暗喩を交えた会話、複数の時間軸、記憶と現実が入り混じる構成が重なったことで、見る側にかなりの集中力を求める作品だったと感じました。SFの設定や世界観そのものは非常に面白いだけに、もう少し素直に物語へ入り込める構成なら、より楽しめたと思います。
豪華な俳優陣による演技、人工知能を題材にしたSF設定、西部劇の世界を再現した壮大な舞台、そしてシーズン終盤で一気に明らかになる時間軸の仕掛けは大きな魅力です。一方で、全10話を通して見ると、謎解きに多くの時間を使う構成が個人的には負担になり、特にドロレスとフォードを中心にした場面では退屈さを感じることもありました。
シーズン1の最後には、ドロレスがフォードを撃ち、ホストたちが人間へ銃を向けます。ここから何が起こるのかという興味は強く残りましたが、そこまでの10話を振り返ると、面白さと難解さが同居した、かなり見る人を選ぶSFドラマという印象でした。
☆☆
観賞日: 2018/11/21 Amazonプライム・ビデオ 2026/08/08 U-NEXT
| 原作 | マイケル・クライトン |
|---|---|
| 製作総指揮 | J・J・エイブラムス |
| ジョナサン・ノーラン |
| 出演 | アンソニー・ホプキンス |
|---|---|
| エド・ハリス | |
| エヴァン・レイチェル・ウッド | |
| ジェームズ・マースデン | |
| ジェフリー・ライト | |
| タンディ・ニュートン |


