映画【セデック・バレ 第二部 虹の橋】感想(ネタバレ):セデック族の誇りと悲劇の歴史アクション

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●こんなお話

 霧社事件の話。

●感想

 運動場での虐殺が日本側に伝わったことで、ついに日本軍が動き出す。だが、深い密林を知り尽くしたセデック族はゲリラ戦で応戦し、日本軍も苦戦を強いられる。追い詰められた司令官は毒ガスを投入し、これによりセデック族の女性や子どもたちは集団で命を絶つという悲劇に発展する。

 他の部族のセデック族が日本軍に加担し、同胞同士が争う構図に。頭目の息子も戦死し、やがて頭目自身も「捕まるわけにはいかない」と姿を消す。残った息子たちも自決し、事件は静かに、しかし壮絶に幕を閉じる。

 密林を猛スピードで駆け抜ける役者たちの躍動感、息を呑むカメラワーク、戦闘シーンの圧倒的な迫力。130分の大半が戦闘で構成され、セデック族の巧妙な待ち伏せに対し、日本軍は飛行機からの爆撃や迫撃砲、そして最終的には毒ガスを使うという苛烈な攻撃を重ねていく。

 安藤政信演じる日本軍人は、前作ではセデック族に理解を示す存在でしたが、今作ではある出来事をきっかけに復讐に取り憑かれ、ついには敵対するセデック族に「首を狩れば賞金を出す」と煽動。同族同士の殺し合いが始まり、殺戮の連鎖が止まらなくなっていきます。

 見応えのある戦闘描写が続く一方で、小さな子どもが大型機関銃を撃ちまくるような非現実的な場面や、明らかに致命傷を負っても次のシーンで何事もなかったように登場するキャラなど、ハリウッド映画のような荒唐無稽な演出も見られ、そこにやや残念さも感じました。

 また、戦闘ばかりが続く構成のため、登場人物たちの背景や関係性があまり描かれず、誰が誰かわからないまま感動的に死んでいくシーンが続くことで、観ている側の感情が乗りにくい部分もありました。第一部では蜂起を決意する頭目の葛藤や人間ドラマが描かれていたのに対し、第二部ではただひたすら戦って撃ち続けるだけで、主人公の心の動きが見えず、やや深みに欠けた印象でした。

 戦いに参加した300人の男たちの背後には、村に残された女性たちの過酷な運命があった。そして戦が終わったあと、わずかに生き残った者たちが何を思ったのか。今の価値観から見ると、その女性たちの末路はあまりに悲しい。

 明快な勝者も敗者も存在せず、何が正しかったのかを観る者に問うような結末。河原さぶ演じる日本軍司令官は、セデック族を「戦士」と呼び、日本人が忘れてしまった大和魂を持っていると評価する。一方で、安藤政信の演じる人物がこの戦いの果てに何を感じたのか、その内面が描かれなかったのは惜しまれます。

 果たして、占領し、文明を与え、インフラを整備して生活を便利にすることが幸せなのか? 誇りや尊厳を奪うことが正しい政策なのか? 歴史の中に埋もれた問いをこの映画は静かに、しかし力強く投げかけてきます。

 全体を通して、娯楽としての迫力と、深く考えさせられるテーマ性を兼ね備えた、まさに「虹」のように多様な見方ができる作品でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/04/27 吉祥寺バウスシアター 2024/05/03 Amazonプライム・ビデオ

監督ウェイ・ダーション 
脚本ウェイ・ダーション 
出演リン・チンタイ 
マー・ジーシアン 
ビビアン・スー 
ランディ・ウェン 
安藤政信 
ルオ・メイリン 
河原さぶ 
木村祐一 
春田純一 
ダーチン 
スー・ダー 
シュー・イーファン 
ティエン・ジュン 
リン・ユアンジエ 
田中千絵 

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