映画【イラク-狼の谷-】感想(ネタバレ):迫力の爆破シーンも物語は淡々と進行…

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●こんなお話

 アメリカ軍の非道に立ち上がる元トルコ諜報員の戦いの話。

●感想

 映画は冒頭から、強引な手法でイスラム圏の人々を拘束し、残虐な虐殺を行う米軍の姿をリアルに映し出します。この描写は非常に重く、社会的な問題を真摯に捉えた作品かと思わせるものでした。ところが、後半になると雰囲気が一変し、まるでお気楽なアクション映画のような展開へとシフトしてしまいます。この前半と後半のギャップには戸惑いを感じずにはいられませんでした。特に前半の深刻なテーマに心を傾けてしまった私は、後半の軽快さを素直に楽しむことが難しくなってしまったのです。

 見どころの一つとして、大規模な爆破シーンが挙げられます。映像は迫力満点で、アクション映画としての爽快感をしっかりと感じさせてくれました。ただし、物語の構成は単なるエピソードの羅列に終始しており、ドラマチックに盛り上がるクライマックスが用意されていないのは非常に残念でした。主人公の存在感も希薄で、彼に感情移入するのが難しいため、物語全体が淡々と流れてしまう印象を拭えません。

 それでもこの作品は、イラクの国内事情や周辺諸国との複雑な関係性に触れている点で、一定の学びがある映画だと言えると思います。社会問題に興味がある方には、そこで得られる情報だけでも見る価値がある作品だと感じました。ただし、ストーリーの緊迫感や人物の描き込みをもっと丁寧にしていれば、より深く引き込まれる映画になったのではないかと感じています。

☆☆☆

鑑賞日:2010/11/03 DVD

監督セルダル・アカル 
脚本ラージ・シャシュマズ 
バハドゥル・オズデネル 
出演ネジャーティ・シャシュマズ 
ビリー・ゼーン 
ハッサン・マスード 
ギュルカン・ウュグン 
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