映画【男はつらいよ フーテンの寅】感想(ネタバレ):寅さんの魅力が花開く！シリーズ第3作

●こんなお話

　寅さんにお見合い話があったりお世話になってる職場のおかみさんを好きになったりする話。

●感想

　本作は、シリーズ第3作目にあたり、前2作よりもコメディタッチが強くなり、『男はつらいよ』シリーズとしての方向性がより明確になってきた印象を受けました。まるで“寅さん版・人情コメディ”としての完成形に近づいたような作品です。

　物語の構成は、寅さん以外の男女が幸せになっていくという、シリーズおなじみのパターンが採用されています。前半30分では、寅さん自身の見合い話が展開されますが、気づけば仲人役として奔走する展開に変化していきます。その後半では、寅さんが旅先の旅館で働きながら、女将さんに淡い恋心を抱いたり、若いカップルの恋愛に首を突っ込んだりと、いつの間にか周囲を幸せにして、自分はまた“フーテンの寅”へと戻っていくという流れでした。

　ただし、後半に登場する旅館の女将さんとは寅さんとの関わりがあまり深く描かれていないため、恋愛要素がやや弱く、寅さんの恋があまり印象に残らない点は少し残念でした。むしろ、前半30分だけで一つの短編作品として完成されており、後半の1時間はやや取ってつけたような印象も受けました。

　とはいえ、全体としては温かみのあるユーモアと人情味が魅力の1本であり、シリーズの中でも“らしさ”が明確になってきた転換点として楽しめる作品でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2018/01/29　NETFLIX