映画【テルマエ・ロマエII】感想(ネタバレ):コミカルな前半とシリアスな後半のギャップ

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●こんなお話

 温泉郷をローマ帝国に作るように命じられたルシウスは、再び現代の日本にタイムスリップしてカルチャーショックを受けていく。のと同時にローマ帝国の跡取りに異変が起きていてクーデター問題が勃発していく話。

●感想

 前作の流れを踏襲しつつ、今回も現代の日本にタイムスリップしてきた主人公ルシウスが、日本の文化に触れて驚く様子が描かれています。阿部寛さんが演じるルシウスのリアクションやモノローグによる演技は、相変わらず笑いを誘う要素として作品を支えています。しかし、中盤までは樽風呂を見つけたり、ウォータースライダーに驚いたり、ローマにはない日本の発明品を発見してそれをローマに持ち帰り、自分流に改良して感謝される、という展開が繰り返されます。このパターンを楽しめなければ、110分の上映時間はかなり辛く感じられてしまうでしょう。前作とほぼ同じ内容を繰り返しているため、パワーアップしているわけでもなく、むしろトーンダウンした印象を受けました。

 同時に、ローマ帝国の跡取りをめぐるサスペンスのような展開も進行しており、何か異変が起きていることがほのめかされています。しかし、これらのエピソードは串団子のように連なっているだけで、映画としての盛り上がりに欠けるのが正直なところです。阿部寛さんの驚くシーンが続く一方で、後半になるとクーデター問題が浮上し、それが解決に向かう流れになりますが、前半のコミカルなトーンから突然シリアスな展開に移行する違和感は大きく、物語に引き込まれにくくなってしまいました。前半と後半の繋がりを工夫しなければ、観客はただ呆然とスクリーンを見つめるだけになってしまうと感じました。

 とはいえ、阿部寛さんがカルチャーショックを受けるシーンはやはり面白く、また上戸彩さんとの爽やかな恋愛模様も好印象でした。コメディとシリアスが混在する難しいバランスの作品ながら、こうしたキャラクター同士のやり取りには楽しめる部分が多くありました。

鑑賞日: 2014/03/16 試写会

監督武内英樹 
脚本橋本裕志 
原作ヤマザキマリ 
出演阿部寛 
上戸彩 
北村一輝 
市村正親 
竹内力 
宍戸開 
笹野高史 
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