●こんなお話
南極で謎の生き物みたいなのを発見して喜んでいたら恐怖体験する人たちの話。
●感想
南極の氷の中から、太古の昔の生物かエイリアンのような存在が発見され、調査チームがその正体を探ろうと動き出す。やがて氷漬けだったはずの生物が突然飛び出して暴れ出し、火炎放射器で応戦。焼かれた後の残骸を調べてみると、人間の細胞を取り込んで擬態していたことがわかる。そこから「この中に正体を隠しているやつがいる」という展開になり、正体不明の恐怖が広がっていく。
クリーチャーのデザインが非常に気持ち悪くて良くできていて、特に70分過ぎの大パニックシーンは迫力満点。次から次へと同化されていく描写が強烈で、視覚的にも印象に残ります。犠牲になるキャラクターがどれもかわいそうで、ショッキングな場面が続いてました。
ただ、「誰が正体なのか」を探る疑心暗鬼の面白さはちょっと物足りなかったです。無機物には擬態できない設定を活かして「歯の詰め物」で判断するくだりは面白かったですが、それ以外では生物の方から正体を現してしまう展開が多く、あまり探り合いのスリルはなかった印象。カーペンター版のように、誰が敵かわからず疑い合うような緊張感があまりなかったです。
登場人物も似たような見た目のひげの男性ばかりで、誰が誰なのか混乱しやすく、感情移入しづらい部分もあったり。後半は1人ずつ逃げたり、隠れたり、息を潜めてやり過ごす…という流れが繰り返されていて、やや単調に感じてしまうのも残念でした。気がつけば何人か消えていて、いつのまにか宇宙船のような場所で追いかけっこが始まりますが、そこも盛り上がりきれなかったです。
とはいえ、最後の最後にオリジナルの『遊星からの物体X』につながるような音楽と演出が用意されていて、カーペンター版へのつながりが明示されたのはファンとしては胸が高鳴るポイントでした。全体的には、ギミックの面白さとクリーチャー造形の迫力は見どころが多く、続編としての雰囲気づくりには成功している一作だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2013/01/09 Blu-ray 2015/01/30 Hulu 2022/02/18 DVD
監督 | マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr |
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脚本 | エリック・ハイセラー |
原作 | ジョン・W・キャンベル・Jr |
出演 | メアリー・エリザベス・ウィンステッド |
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ジョエル・エドガートン | |
アドウェール・アキノエ=アグバエ | |
ウルリク・トムセン | |
エリック・クリスチャン・オルセン | |
トロンド・エスペン・セイム |