●こんなお話
狂暴化する伝染病が蔓延して離ればなれの恋人が再会しようとする話。
●感想
カップルの朝の目覚めから物語が始まる。来週デートの約束をしていたはずなのに、男性はすっかり忘れていて、仕事の予定を入れてしまっていた。彼女は不機嫌ムード。そんな空気のまま、男性がベランダに出てみると、近くのビルの屋上に血まみれの人が立っていて妙に不気味。さらに、隣人の男性と最近流行っているというウィルスの話を交わしたりして、男性は原チャリで出勤していく。
途中で見かけるのは、暴れる人を取り押さえる警官や血まみれの通行人。あきらかに異常事態が始まっていて、序盤から不穏な空気が漂っていく。
彼女を職場に送ったあと、男性は友人が営む朝食屋へ。注文を済ませたタイミングで、フラフラと老婆が入ってきて……。ここから一気に血まみれのスプラッター地獄がスタート。油を浴びてぐちゃぐちゃ、屋上から人が落下してくるなど、ホラー映画好きならテンションが上がる展開が続きます。
ヒロイン側でも、電車で隣に座ったおじさんが話しかけてきたと思ったら、そこからまたもやスプラッターバイオレンスの幕開け。人ってこんなに血が出るのか?と思うほど血しぶきのオンパレード。内臓描写や肉体破壊の演出もかなり派手で、グロ描写を楽しみたい人にはたまらない仕上がり。
ストーリーとしては、離れ離れになったカップルが、感染者たちから逃げながら再会できるかどうかを描いていく流れ。男性側は原チャリで郊外へ逃げ、やっとスマホでヒロインと連絡が取れて彼女のいる病院へ向かう……という構成。感染した中学生たちに襲われたりといった展開はあるけれど、道中はやや平坦に感じられる部分も。
対して、女性側のドラマはテンション高め。地下鉄で変な男に絡まれたところから、どこから来るか分からない感染者への緊張感、そして一気に弾ける血まみれカオス。何とか病院へ逃げ込んだと思ったら、今度は隠れながら逃げるサスペンスパートへ。さらに謎の博士と出会い、誰が敵で味方なのか分からなくなっていく不安と緊迫感があって、見ごたえがありました。
ただ、ところどころテンポの悪さも感じた。最初のカップルの朝の会話、ニュース番組で流れる総統と軍人の長い演説、博士が語る場面など、セリフに間がありすぎてスピード感が失われていた気がします。
好みが分かれるだろうけど、感染者のレイプ描写や赤ん坊への過剰な暴力など、人によっては不快に感じるシーンもあった。グロが平気でも性的な暴力描写が苦手な人には注意が必要だと思われます。
それと、後半で女性と一緒にいる負傷した女性の扱いや、病院で感染しているのか分からないシャッター職員、最初に出てきた隣人など、もう少し掘り下げがあってもよかったんじゃないかと思うキャラもいたり。
とはいえ、スプラッター映画としては見応えたっぷり。血しぶきが景気よく飛び散るさまは痛快で、B級ホラー好きとしてはなかなか楽しい一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2022/07/01 チネチッタ川崎
監督 | ロブ・ジャバズ |
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脚本 | ロブ・ジャバズ |
出演 | レジーナ・レイ |
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ベラント・チュウ | |
ジョニー・ワン | |
アップル・チェン | |
ラン・ウエイホア | |
エマーソン・ツァイ | |
ラルフ・イエンシヤン・チウ |