映画【サクラメント 死の楽園】感想(ネタバレ):POV映像で迫る宗教団体の闇!ジョーンズタウン事件を思わせる衝撃作

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●こんなお話

 カルト教団人民寺院の集団自殺をモチーフにした話。

●感想

 テレビ局に届いたのは、「妹が帰ってこない。宗教団体に入ってしまったようだ」という兄からの手紙。それをきっかけに、取材クルーは兄とともにその宗教団体のコミュニティ施設へ向かう。朝、施設の入り口では銃を構えた護衛たちが立ち塞がり、クルーの立ち入りを拒もうとするが、妹が自ら迎え入れてくれたことで中に入ることができた。

 施設の中では、信者たちが穏やかに暮らし、皆が「ここは楽園だ」と幸せそうに語る。取材クルーは彼らにインタビューを重ね、次第に教団の全貌に迫ろうとするが、核心にはなかなか触れられない。やがて、教団のリーダーである“ファーザー”へのインタビューが実現するが、彼はまともに質問に答えようとせず、逆にメディア批判を繰り返すばかり。

 その夜はパーティーが開かれ、クルーたちも参加する。兄は妹を探すが、逆に兄が信者の女性2人と関係を持ったと聞き、驚きと疑念が広がる。そしてひとりの少女が「助けて」と書かれた紙を手渡してきたことで、施設の異常性が次第に露わになっていく。

 翌朝、施設内で「帰りたい」と訴える信者たちが騒ぎ出す。その混乱の中、テレビクルーが来たせいだと責められる展開に。取材クルーの一人が子どもを逃がそうとヘリのパイロットのもとへ向かうが、突然の銃撃に襲われる。

 施設内では、教祖“ファーザー”が「次のステージへ進む時だ」と告げ、信者たちは次々と毒を飲んで自殺していく。兄は妹に毒を打たれ、命を落とす。生き残っていた者たちも銃撃され、カメラマンは仲間を助けに戻るが、教祖に捕まり、やがて彼は自殺。最後にカメラマンは生き残った女性とともにヘリで施設を後にしておしまい。

 本作は、妹を奪還すべくテレビ局の取材班が向かった宗教施設を舞台に、事件の一部始終を“POV方式”で描いたサスペンス映画。ドキュメンタリー風の演出で、リアルさを追求していました。取材という形で話が進む前半は、何かがおかしいと感じつつも大きな事件は起こらず、観客の集中力が試される静かな立ち上がりとなっていました。

 しかし、少女のメモをきっかけに状況は一変。脱出を望む信者、怪しげな教祖の態度、そして急転直下の暴力と集団自殺といった展開で、サスペンスが一気に高まります。特に終盤の描写は衝撃的で、息を呑むような場面が続きました。

 ただ、人民寺院の実際の事件(ジョーンズタウンの集団自殺)を知っていると、展開に新鮮味はあまりなく、「やはりそうなるのか」という印象が拭えなかったです。また、ラストに突然現れる助けてくれる謎の男性の正体や、ヘリのパイロットが撃たれながらも律儀に待ち続けている点など、説明不足な部分がいくつか残っていて、モヤモヤもありました。

 とはいえ、この事件の輪郭を知るきっかけとしては非常に良い作品で。疑似ドキュメンタリーの形式で描かれることで、視聴者に現実感と不気味さを与えるつくりになっていると思いました。

☆☆☆

鑑賞日: 2016/05/19 TSUTAYA TV 2024/01/28 Amazonプライム・ビデオ

監督タイ・ウェスト 
脚本タイ・ウェスト 
出演ジョー・スワンバーグ 
AJ・ボーウェン 
ケンタッカー・オードリー 
ジーン・ジョーンズ 
エイミー・サイメッツ 
ケイト・リン・シエル 

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