●こんなお話
1592年の日本軍の侵略を防ぐ李舜臣と日本軍の脇坂保治の戦いの話。
●感想
日本軍の脇坂保治が朝鮮軍をせん滅し、主人公の作戦もなかなか認められない状況が続く。船の訓練もうまくいかず、その様子を偵察していた僧侶が船に忍び込んで設計図を盗もうとしたりと、前半は不穏な空気が漂う。
そんな中、かつて主人公を銃撃した兵士が、その姿勢に感銘を受けて投降し、忠誠を誓うという熱い展開もある。一方で、主人公の作戦に異を唱える家臣もいて、陣営の足並みがなかなかそろわない。敵側も内部で武将同士が対立し、刀を抜く場面があったりと、双方に一枚岩ではない描写が丁寧に積み重ねられる。
そして迎える海上決戦。最初は敵が主人公の思惑通りに動かず、流れが変わるかと思いきや、敵側の家臣が命令を無視して突撃し自滅。そこから事態は急変していく。主人公の狙いを阻止しようとする敵の動きも読まれていて、あわやという場面で秘密兵器が登場。激しい乱戦の中、敵の甥がその秘密兵器を撃退したりする展開が続く。
敵の総大将は過去の「三方ヶ原の戦い」で武田信玄が徳川家康を破った戦術を思い出し、魚鱗の陣で突撃するが、訓練の成果が出た朝鮮軍の大砲攻撃で日本軍は壊滅的な打撃を受ける。
そして、日本軍の拠点である城にも砲撃が開始され、藤堂高虎が悔しさを噛みしめる。最後は「義と不義の戦いだ」と朝鮮軍が決意を新たにする形で物語が締めくくられておしまい。
海上決戦のスペクタクルはまさに大迫力。両陣営ともに個性的な武将たちが策略をめぐらせ、「もうだめだ」というところで援軍がどーんと登場する展開は王道ながらやはり盛り上がります。また、日本語の台詞が全体の半分くらいを占めていて、日本映画と錯覚するほどです。スパイ活動や韓国側の内部対立も物語に厚みを与えています。主人公を撃った兵士が韓国側のスパイとして活躍する展開も印象的でした。
とはいえ、序盤から中盤にかけて似たような軍議や作戦会議が続き、登場人物の紹介もテロップで一気に処理されるので、120分がやや長く感じる部分もありました。鶴翼の陣が成功するのか、秘密兵器の亀船が完成するのかという展開にも緊迫感が薄く、予想通りに話が進んでしまうのが残念。結果的に、事務的に淡々と進んでしまった印象が残る一作でした。
☆☆☆
鑑賞日:2024/02/03 WOWOW
監督 | キム・ハンミン |
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脚本 | キム・ハンミン |
ユン・ホンギ | |
イ・ナラ |
出演 | パク・ヘイル |
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ピョン・ヨハン | |
アン・ソンギ | |
オク・テギョン | |
コンミョン |