ドラマ【ジ・オファー】感想(ネタバレ):『ゴッドファーザー』誕生の舞台裏を描く熱き10話

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●こんなお話

 映画【ゴッドファーザー】を作るまでの話。

●感想

 売れない小説家が『ゴッドファーザー』を執筆するところから物語は始まる。作品が出版されるやいなやベストセラーとなり、すぐさま映画化の話が持ち上がる。その映画化にあたり、ひとりのプロデューサーが作品の命運を握る存在として中心に立つ。監督選びから始まり、主演俳優のキャスティング、さらには撮影現場で起こる大小さまざまなトラブルへの対処、そして物語の内容に関わるマフィアとの付き合いまで、映画が1本完成するまでに必要なことがすべて詰まっています。 

 単に裏話という言葉で片付けられない、映画制作の奥深さが描かれていて、スタジオの内情や現場の空気感がしっかりと映像として表現されているところに面白さがあると思いました。芸術を追求する監督たちと、資金回収を目指す出資者たちとの思惑がぶつかり合う中で、それぞれが映画という同じゴールを見ていながらも目指す方向が微妙にずれていく。そのズレの中で生まれる摩擦が一つひとつ丁寧に描かれていて、見応えがありました。

 また、マフィアがテーマとなっている作品を扱うということで、実際のマフィア組織とどう関係を持つかも描かれ、社会的な目や警察の介入といった現実的な問題がのしかかってくる。それらをどう交わしながら制作を続けていくのか、スリリングな展開が続いていて惹きつけられました。

 各話ごとに新たな問題が持ち上がり、それをどのように乗り越えるのかというのが物語の軸となって進んでいく構成もリズムが良く、10話を通して飽きることなく楽しめた印象です。最終話で『ゴッドファーザー』が果たして成功するのか、アカデミー賞に届くのかといった展開は、結果がわかっているにも関わらず、しっかりと手に汗握ってしまいました。

 プロデューサーのひとりは仕事一筋のやり手として描かれますが、家庭を顧みなかったことから離婚し、精神的に追い込まれていくという人間的な一面も描かれます。物語の中心にあるのは映画制作の過程でありながら、登場人物それぞれの人生や選択にも焦点が当たっていて、作品に奥行きを与えていたと感じます。特に主人公の秘書が、男性優位の業界の中で自分の道を切り開こうとする姿勢には、現代的な視点も込められていて印象的でした。

 俳優陣の再現度も素晴らしく、若き日のアル・パチーノ、監督のフランシス・フォード・コッポラ、名優マーロン・ブランドらを思わせるキャスティングが自然で、当時の空気感をそのまま感じさせてくれる仕上がりでした。

 『ゴッドファーザー』の製作過程を軸に据えながら、他の作品についてもさりげなく触れられていて、映画ファンとしては嬉しい要素が散りばめられていました。主人公が『ゴッドファーザー』から『ロンゲスト・ヤード』へと歩みを進める様子も含めて、ひとりのプロデューサーの人生を追体験できる、満足度の高いシリーズだったと思います。

☆☆☆☆

鑑賞日:2022/09/22 U-NEXT

製作総指揮バリー・M・バーグ
デクスター・フレッチャー
レスリー・グリーフ
アルバート・S・ラディ
マイルズ・テラー
マイケル・トルキン
ニッキー・トスカーノ
監督デクスター・フレッチャー
脚本マイケル・トルキン
ニッキー・トスカーノ
レスリー・グリーフ
アルバート・S・ラディ
出演マイルズ・テラー
マシュー・グード
ジュノー・テンプル
ジョヴァンニ・リビシ
ダン・フォグラー
バーン・ゴーマン
コリン・ハンクス
パトリック・ギャロ
ノラ・アルネゼデール
ジョシュ・ザッカーマン
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