ドラマ【高い城の男 シーズン1】感想(ネタバレ):もしも第二次大戦に連合国が負けていたら?

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●こんな話

 第二次大戦でアメリカが負けてドイツと日本に占領されている世界で、映画のフィルムを巡っての10話。

●感想

 物語は、主人公の女性が久しぶりに再会した妹から1本のフィルムを託されるところから動き出す。その映像をきっかけに、彼女は憲兵隊やナチス、さらにはレジスタンスからも追われることになる。緊張感のある逃亡劇が展開される中で、彼女が持つフィルムの意味や、それをめぐる陰謀が次第に明らかになっていく。

 この世界は、第二次世界大戦に連合国が敗北し、アメリカがナチス・ドイツと大日本帝国によって分割統治されているという、いわゆる「if(もしも)」の歴史設定。ニューヨークの街角ではドイツ語が飛び交い、サンフランシスコでは日本語が日常会話として聞こえてくるという、独特な世界観が見どころです。

 物語は、妹の死やレジスタンスの陰謀、皇太子の暗殺計画などが絡み合い、主人公が思わぬ形で暗殺犯の容疑をかけられる展開に。妹の家族を殺された男の復讐心が暗殺事件の裏にあり、ナチスの幹部もまた、自分に牙をむいた裏切り者を探し出そうと動く。

 日本の高官たちは暗殺の報を受けて動揺し、ひたすら易で答えを求める大臣、冷静だがどこか抜けている憲兵隊の木戸など、個性的なキャラクターが多数登場。対するナチス側のスミス大将は冷酷無比でありながら、難病の息子を抱えて人知れず葛藤しているという複雑な人物像を持つ。

 この世界の成り立ちに関わる重要なキーが「高い城の男」と呼ばれる存在であり、彼が関わるフィルムこそが全ての中心。しかし、このシーズン1ではそのフィルムの正体や価値が最後まで明かされることはなく、あくまで「謎の提示」に留まっています。

 アクション、サスペンス、スパイ、歴史改変、陰謀劇が絡み合う全10話はテンポよく、緊張感を保ったまま展開されるためダレることなく最後まで見られました。

 ただ、主人公の女性が周囲をどんどん巻き込んでいく姿勢には、若干モヤっとさせられるところもあり。彼女のために危険な仕事を引き受ける恋人や、命がけで逃がそうとするレジスタンスの人々をあまりにも当然のように頼っていく姿勢には、ちょっと共感しにくい部分もあったり。

 とはいえ、ナチス幹部や日本の高官たちの内情、そして架空歴史の緻密な描写には引き込まれましたし、世界設定と社会構造の作り込みが見事で、全体として非常に高品質なドラマでした。シーズン1だけでは多くの謎が残されたままですが、続きを見ずにはいられない作りになっていました。

☆☆☆

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脚本フランク・スポトニッツ
監督デビッド・セメル
出演アレクサ・ダヴァロス
ルパート・エヴァン
ルーク・クラインタンク
ケイリー=ヒロユキ・タガワ
ルーファス・シーウェル

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