●こんなお話
1997年という水がなくなった荒廃した近未来の世界で支配している軍団と自分が好きな漫画キャラクターの格好をして戦うターボキッドの話。
●感想
ガソリンが手に入らない世界で、主人公が必死に自転車をこぎながら繰り広げるチェイスシーン。首や胴体が飛び散り、空からは血しぶきが雨のように降り注ぐ。そんな過激でバカバカしい描写が次々に登場するこの映画は、昔からあるB級映画やジャンル映画へのオマージュに満ちた一本。そういったテイストが好きな人にはたまらない、愛すべき作品だと思いました。
物語は、主人公がヒロインから突然「友達になろう」と声をかけられる場面から始まる。2人はすぐに敵に追われることになり、捕まったり逃げたりを繰り返しながら少しずつ関係を深めていく。まるで荒唐無稽な展開が続く中でも、主人公たちの関係にはある種の純粋さや温かさがあって、その対比がこの映画の魅力を引き立てていたと思います。
物語の中盤では、ヒロインにまつわるある秘密が明らかになる。このSF的な設定が、ただのドタバタ劇に終わらず、物語に奥行きを与えていたのがよかったです。さらに、主人公たちのピンチを救うカウボーイ風のキャラクターも登場。見た目はとにかくカッコいいのに、腕を切り落とされたり、その切断面を攻撃されて悲鳴を上げたりと、強いのか弱いのか分からない愛嬌のある存在で、思わず笑ってしまいました。
ただ、この手のB級テイストに慣れていない人や、ジャンル映画が苦手な人にとってはノリにくい内容かもしれないです。90分ちょっとという短めの尺ではあるけれど、展開にやや間延びした部分もあって、テンポが悪く感じるところもあったり。
とはいえ、あえてバカバカしさ全開の映画を本気で作っている姿勢には、好感しかなかったです。やりたいことを振り切って表現していて、観ているこちらも気持ちがいい。好きな人にはしっかり刺さる、そんな一本でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/01/26 NETFLIX
監督 | フランソワ・シマード |
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アヌーク・ウィッセル | |
ヨアン・カール・ウィッセル | |
脚本 | フランソワ・シマード |
アヌーク・ウィッセル | |
ヨアン・カール・ウィッセル |
出演 | マンロー・チェンバーズ |
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ローレンス・レボーフ | |
マイケル・アイアンサイド | |
エドウィン・ライト |