●こんなお話
政権が悪だくみを全部隠そうとして、良心と仕事に苦しむ人たちや真実を求める善人と自分たちの都合の事を隠そうとする悪人がSNSで拡散を頑張る話。
●感想
藤井道人監督作品らしい綺麗な映像と仕事と自分の良心に苦しむ役者さんたちの苦悩のお芝居が素晴らしくて、上司から間違っていると思っていてもやらなくてはいけないストレスなど多かれ少なかれ日本社会で働いたりすると発生する問題で、それが日本の政治でも起こっているというのを見せてくれました。
ただ実際の出来事をモチーフにしていて政権の問題点なんかをあぶりだしてくれているとは思いますが、普通に映画版でもおかしいと思う描写でしたが、内閣情報調査室だか「弱みを握れ、SNSで拡散しろ」と命令をくだす組織が青白い光の暗い部屋でパソコンをパチパチやっているだけの悪い描写。悪人側の役者さんたち皆さんニヤと笑って「フフフ」と笑うお芝居とかはアニメーションとかでもやらない描写なのではなかろうかと感じました。
主人公側も真実を追求しようとして頑張るけど敵も味方も「上からの指示だ」と上の人たちの一存ですべてが決まっていってストレスがかかる。
主人公はぶれずに真実を暴こうとしていくキャラクターで変わらないのでそれほど面白味があるキャラクターではなく、むしろ面白かったのは田口トモロヲさんや橋本じゅんさん、吉岡秀隆さん、利重剛さんなどが間違っていることをやっているけど話せない苦悩お芝居が最高でした。
そのため彼らの心を動かすのは寺島しのぶさんや横浜流星さん遺族側が当人に直接話に行って説得するというもので人情に訴えて動かそうとする。というお芝居が連続していくというもので、役者さんや演出の力なのか感動的ですが、果たしてそういう解決法でいいのだろうか安直すぎないかという行動でした。主人公は遺族と相手側のコネクションになるという役割のキャラクターでした。
主人公よりも主人公の上司の橋本じゅんさんが最初は主人公の記事を載せないという判断を下していたのに後半にまた主人公の記事を載せる載せないとなったときの判断が簡単に載せると判断するのとか1番のドラマの盛り上がりどころになる葛藤だと思いますが、そこらへんはあっさりで拍子抜けでした。検察でも真実を求める大倉孝二さんが動こうとするけど、また上司が「上から」という指示でとりやめになったりしますが、最後には上司が「俺も検察官だ」と検察の誇りを急に持ち出してで捜査をしようと気持ちが変わっていたりと盛り上がりどころがあっさりで残念でした。
それよりも盛り上がる見せ場となっているのはSNSで世論に広まっていくというもので、このドラマではみんながみんなSNSをやっていてSNSで多数派になったほうが勝ちみたいな世界というのが、そういう志でいいのだろうかという盛り上がりクライマックスでした。
せっかく実際の出来事や人間がモチーフになっているのに、わかりやすい勧善懲悪もので善人が良きこと行い悪人たちがいかにも悪いことをしていくという描き方は面白く見ることができずファンタジーになってしまっていると思いました。
そして岩代太郎さんの音楽がかっこよかったです。
☆☆☆
鑑賞日:2022/02/19 NETFLIX
監督 | 藤井道人 |
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脚本 | 山田能龍 |
小寺和久 | |
藤井道人 |
出演 | 米倉涼子 |
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横浜流星 | |
吉岡秀隆 | |
寺島しのぶ | |
吹越満 | |
田口トモロヲ | |
大倉孝二 | |
田中哲司 | |
萩原聖人 | |
柄本時生 | |
土村芳 | |
小野花梨 | |
橋本じゅん | |
でんでん | |
利重剛 | |
ユースケ・サンタマリア | |
佐野史郎 | |
綾野剛 |