●こんなお話
おばけ図鑑を持ってお化けの世界に迷い込んだ人たちがおばけ集めをする話。
●感想
主人公たちの3人組は、それぞれの願い事を叶えるため、町にある不思議な祠にお願いをします。しかし、その願い事の「エネルギー」は何者かによって集められており、実はそのエネルギーは古本屋の主人が「図鑑坊(ずかんぼう)」という妖怪と共に集めていたのです。
古本屋の主人の指示により、図鑑坊は3人の夢枕に現れます。その直後、小学校には半年間限定で赴任してきた少しやる気のない先生が登場し、小学生たちが怪しい古本屋に入っていくのを目撃し、思わず追いかけます。
古本屋の中で「おばけずかん」を手に入れた3人が外へ出ると、そこはもう自分たちが知っていた世界ではなく。やがて、友人である女子生徒も合流しますが、彼女の様子も少し不自然。家に戻っても誰もおらず、まるで自分たちしか存在していない世界です。
実は先生も一緒に古本屋にいたことがわかり、皆で先生の自宅へ向かいます。そこで再び現れた図鑑坊から、元の世界に戻るには「おばけずかん」におばけを全て閉じ込めなければならないという条件が語られます。期限は明日まで――。
子どもたちは「やまびこのおばけ」「分身して小さくなっていくおばけ」「目がたくさんあるおばけ」「一反木綿」など、さまざまなおばけと出会い、知恵や工夫でそれらを「おばけずかん」に閉じ込めていきます。たとえば、玉ねぎの汁を浴びせて撃退しようとするなど、な対処法もあったり、視覚的にも見どころ満載でした。
特に印象的だったのは「分身するおばけ」で、どんどん小さくなっていき、それに伴って思考もどんどん子どもらしく幼くなっていく様子がユニークで面白かったです。
やがて、物語はクライマックスへ。時間を操るおばけと対峙しようとする中で、女子生徒の身体に異変が生じます。先生が問いかけることで、実は彼女が事故で意識不明の状態にあることが明かされます。子どもたちは時間を操るおばけに頼み、事故が起こる前の時間へと戻してもらおうとします。
今まで捕まえたおばけたちの協力のもと、時間のおばけと対峙し、ついに事故のない未来を手に入れ、元の世界へ戻ることができました。
ただし、代償として、子どもたちはこの冒険の記憶をすべて失ってしまいます。記憶がないまま日常を送る中、かつてやる気のなかった先生だけがこの出来事に影響を受け、教職に対して新たな情熱を持ち始めるところでおしまい。
画面全体は非常に華やかで、おばけや背景がよく動き、視覚的にも楽しい演出が印象的でした。特に小さくなっていく分身のおばけの描写は、子ども向け作品らしいユーモアと可愛らしさがあふれており、非常に好印象でした。
ただし、物語の展開としては、子どもたちのやりとりが中心となっているため、大人が観るには少し単調で退屈に感じる部分もありました。しかし、同世代の小学生が観れば、冒険のわくわく感を存分に楽しめる内容となっているのではないかと感じた作品でした。
☆☆☆
鑑賞日:2024/09/30 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 山崎貴 |
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脚本 | 山崎貴 |
原作 | 斉藤洋 |
宮本えつよし |
出演 | 城桧吏 |
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柴崎楓雅 | |
サニーマックレンドン | |
吉村文香 | |
神木隆之介 | |
新垣結衣 | |
出演(声) | 釘宮理恵 |
杉田智和 | |
下野紘 | |
大塚明夫 | |
田中泯 |