映画【フレンチ・コネクション】感想(ネタバレ):尾行×銃撃×麻薬捜査!リアルな刑事ドラマの緊張感と映像美

THE FRENCH CONNECTION
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●こんなお話

 フランスから麻薬がいっぱい入ってくるらしいというので売人を追いかける刑事たちの話。

●感想

 冒頭では、マルセイユにて犯罪者を監視していたフランス人刑事が命を落とすという衝撃的な事件が描かれ、観る者を一気に引き込む緊張感のあるスタート。

 一方ニューヨークでは、アメリカ側の主人公となる刑事たちが、日々地道な捜査活動を行っています。冒頭では売人を追い詰めて逮捕するシーンが描かれたり。

 ある日、捜査チームがクラブのような店で酒を楽しんでいると、どこか怪しげな雰囲気の若夫婦が目に留まります。その直感を頼りに尾行を始めたところ、彼らがマフィアの一員である可能性が浮上。特に夫は、麻薬密輸の中心人物として、フランスからボスの手配によって取引を計画していることが判明。

 フランスから来る麻薬の運び屋を察知した捜査チームは、入念な尾行を開始しますが、地下鉄などを舞台としたスリリングな追跡劇の中で一歩及ばず、逃げられる。犯罪者側も刑事たちの動きを察知し、報復として殺し屋をニューヨークに送り込みますが、襲撃は失敗。逆に主人公が殺し屋を追跡し、カーアクションの末、電車をハイジャックした殺し屋を車で追い詰めて射殺します。

 また、フランスから来た著名人の車に目をつけた捜査チームは、麻薬が隠されていると睨んで解体を試みますが、当初は何も見つかず。しかし、その後に麻薬が見つかっていたことに気づき、車を元通りにして泳がせる判断を下します。そして、ついに麻薬の取引現場を突き止めた主人公たちは、決定的瞬間を狙って一斉に突入し、取引関係者を逮捕。

 ところが、最終的に追っていた主犯格の男には逃げられてしまい、逮捕した者たちも証拠不十分などの理由からすぐに釈放。爽快感というよりもむしろ現実の捜査の難しさや、正義の手が必ずしも全てを解決できるとは限らないというエンディング。

 特に印象的だったのは、尾行シーンの丁寧な演出。犯人が刑事の存在に気づきそうになるたびに、刑事たちがさっと姿を隠す緊張感のあるやり取りが何度も描かれ、観る側をハラハラさせる映像構成が秀逸でした。主人公が地下鉄で1人で犯人を追いかけ、電車に乗ったり降りたりを繰り返す一連のシークエンスは、言葉がなくとも観客の目を釘付けにする圧巻のシーンでした。

 クライマックスでは激しい銃撃戦を期待してしまう流れでしたが、結果的に味方を誤射してしまい、しかも主犯を取り逃がすという苦い結末で幕を閉じる構成には驚きました。爽快な解決ではなく、どこか虚しさの残るラストにより、リアルな捜査の難しさや、勧善懲悪では終わらない人間模様を強く印象づける作品です。

☆☆☆☆

鑑賞日:2010/06/23 Blu-ray 2024/10/12 DVD

監督ウィリアム・フリードキン 
脚本アーネスト・タイディマン 
原作ロビン・ムーア 
出演ジーン・ハックマン 
フェルナンド・レイ 
ロイ・シャイダー 
トニー・ロ・ビアンコ 
マルセル・ボズフィ 
フレデリック・ド・パスカル 
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