●こんなお話
ウォーレン夫妻が娘を狙う悪魔に立ち向かい、超常との対峙の終着点を迎えるシリーズ最終章。
●感想
1964年、アメリカ。超常現象研究家のエド・ウォーレンと妻ロレインは、アンティークショップにある鏡に取り憑いた霊の調査に向かっていた。そこでロレインは激しい幻視に襲われ、倒れてしまう。彼女は身ごもっていたが、赤ん坊を出産したがもう赤ん坊は亡くなっている。だが、ロレインの祈りが届いたのか、奇跡的に娘は息を吹き返し、「ジュディ」と名づけられる。
それから時は流れ、1986年。ウォーレン夫妻は現場を離れ、各地で講演を行いながら穏やかな日々を過ごしていた。しかし、かつて悪霊と向き合った日々の記憶はまだ彼らの中に息づいていた。娘のジュディは成長し、母譲りのサイキック能力を持つようになっていた。
一方、ペンシルバニア州のウェスト・ピットストン。新居に引っ越してきたスムール一家の家では、ある日を境に奇妙な出来事が起こり始める。通過式を終えた娘ヒーザーの部屋に、父が贈った大きな鏡が設置されたその夜、家の中でポルターガイスト現象が起こったり老婆や巨大な男性の幽霊が襲ってきたり。最初は偶然と思われていた出来事が、次第に家族を脅かすほどの暴力的な現象へと変わっていく。
エドは心臓の病を抱えており、すでに現場を離れていて、神父からスムール一家の話を相談されるけど断る。しかし、娘ジュディがこの悪霊に狙われていることを知ると、ロレインとともに立ち上がる。夫妻は霊的な記録と祈りの道具を携え、スムール家に向かう。そこでは家具が宙を舞い、闇の声が耳元で囁き、鏡が歪むたびに何かが蠢いていた。
調査の中でロレインは、過去に自分たちが退けたはずの悪魔がこの家に潜んでいることを悟る。その存在は、人の記憶と感情を操り、家族同士を疑心暗鬼に陥れていく。夜ごとに繰り返される現象の中で、ジュディは霊と対峙し、両親とともに“最後の儀式”に臨む。
エドとロレイン、そして娘とその夫が祈りをして襲ってくる鏡と対峙。家族のの祈りが一つになった瞬間、悪霊はその名を封じられ、家に静寂が戻る。
事件の後、ウォーレン夫妻は正式に引退。娘ジュディの結婚式では、かつて救った家族たちが集まり、温かな光の中で笑い合う。長く続いた戦いの日々が静かに終わり、彼らの物語は穏やかな時間の中に溶けていっておしまい。
シリーズを通して描かれてきたウォーレン夫妻の絆や信念が、今作では家族としての愛情の形へと結実していて、温かみを感じました。ジャンプスケアの多さや、影がゆっくりと忍び寄る演出など、恐怖の表現は多彩で、見ていて飽きません。特に鏡を介して現れる霊の姿や普通に奥から斧を持って現れる巨大な男とか怖くて光と闇を交錯させる映像の美しさには惹き込まれるものがありました。
シリーズを追ってきた方には、夫妻と娘ジュディの関係性が丁寧に描かれている点も印象的だと思います。悪霊に立ち向かう姿の裏に、家族としての絆や信頼がしっかりと根づいていて、ただのホラー映画に留まらない深みを感じました。
一方で、130分という上映時間はやや長く、特に冒頭の出産シーンやジュディの恋人とのエピソードなどはテンポがゆっくりに感じる部分もありました。ラストの封印の場面も演出的には迫力がありますが、悪魔との決着がやや曖昧に映る部分もあります。それでも、シリーズの最終章として、家族愛と信仰の力を描き切った作品であったと思います。
シリーズの原点と終焉を見届けるような静かな感動があり、長年ウォーレン夫妻の物語を見守ってきた観客にとっては、確かな余韻を残す一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2025/10/19 イオンシネマ座間
監督 | マイケル・チャベス |
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脚本 | イアン・B・ゴールドバーグ |
デヴィッド・レスリー・ジョンソン | |
リチャード・ナイン | |
ジェームズ・ワン | |
原案 | デヴィッド・レスリー・ジョンソン |
ジェームズ・ワン |
出演 | ベラ・ファーミガ |
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パトリック・ウィルソン | |
ミア・トムリンソン | |
ベン・ハーディ | |
トニー・スペラ | |
レベッカ・コールダー | |
エリオット・コーワン | |
キーラ・ロード・キャシディ | |
ボー・ガズドン | |
ジョン・ブラザートン | |
シャノン・クック |