映画【突入せよ!「あさま山荘」事件】感想(ネタバレ):日本の組織の弱点と現場力を浮き彫りにした実録サスペンス

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●こんなお話

 あさま山荘事件を警察サイドから描いた話。

●感想

 長野県警が連合赤軍を追っていた最中、さつき山荘で発見し銃撃戦に突入。東京では、出張帰りの主人公が欧米から持ち帰った技術を報告書にまとめていたが、連合赤軍があさま山荘で人質を取って立てこもったという一報が入る。

 警察庁長官からの命で、主人公が現地に派遣されることに。ところが長野県警は明らかに警視庁の介入を歓迎しておらず、現場ではギクシャクした空気が流れる。犯人の写真を撮るため長野県警が勝手に突入して負傷者が出るなど、現場は混乱。さらには民間人が侵入して撃たれて死亡するという最悪の事態も起きる。

 警察庁長官からの叱責の電話で、主人公は気合を入れ直し、現場の指揮を引き締める。そして長野県警本部長に「鉄球作戦」を提案し、いよいよ突入の日。計画どおりにいかないこともあり、電線が切られていないトラブルも発生しつつ、鉄球で建物を破壊しつつ突入。しかし中隊長が撃たれて負傷、隊長が死亡、放水部隊の指揮官も殉職と、犠牲も多い。

 突入方法をめぐってガスか放水かで意見が割れるが、主人公の判断でラスト10分間の放水による壁破壊で突破を図る。最終的に犯人と人質の確保に成功して事件は収束。主人公は家へ帰っておしまい。

 この映画は、あさま山荘事件を警察の側から描いた作品で、警察内部の対立や派閥、現場と本部のズレ、意思決定の遅さなど、非常に日本的な組織運営の姿が丁寧に描かれていました。キャラメルを警視庁の人間にだけ配り、長野県警には配らないような子どもの喧嘩のようなシーンもあり、警察組織の人間くささも印象に残ります。

 長い膠着状態の末にいよいよ突入となるが、その訓示や現場での緊張感、命をかけた機動隊員たちの覚悟は見応えがありました。ただし映画としてのクライマックスが「延長放水10分」という地味な作戦だったため、画的な盛り上がりには欠ける部分も。アクション映画としてはやや迫力不足だったと思います。

 またコメディ的な演出もあったが、実際に死傷者が出ている事件なので笑いづらい点もあったり。ただ昭和の一大事件をミクロな視点で描き、警察内部の動きがリアルに描写されていて、その点は非常に興味深く、見応えがありました。

☆☆☆

鑑賞日:2013/02/27 DVD 2024/03/10 Hulu

監督原田眞人 
脚色原田眞人 
原作佐々淳行
出演役所広司 
宇崎竜童 
伊武雅刀 
串田和美 
山路和弘 
矢島健一 
豊原功補 
遊人 
遠藤憲一 
藤田まこと 
天海祐希 
椎名桔平 
松岡俊介 
池内万作 
篠井英介 
街田しおん 
篠原涼子 
松尾スズキ 
もたいまさこ 
高橋和也 
武田真治 
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