映画【長沙里9.15】感想(ネタバレ):仁川上陸作戦の影に隠れた少年兵たちの戦いを描いた戦争映画

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●こんなお話

 朝鮮戦争のときの陽動作戦の任務に就いた学徒兵たちの戦いの話。

●感想

 まだ訓練もろくに終わっていない幼い少年兵たちが、無謀とも言える作戦に投入される。そして、その命令に背けば上官であっても一時的に死刑にされるという、軍の上層部の冷酷さが描かれていて、見ていて本当に胸が痛くなる内容でした。

 冒頭の夜中の上陸作戦から始まり、人民軍をトンネルで待ち伏せて奇襲を仕掛けるシーンや、クライマックスの激しい撤退戦まで、戦闘シーンはどれも迫力満点。音響やカメラワークも重厚で、ダイナミックな戦闘描写が続き、戦争映画としてはかなり満足度が高かったです。

 主人公はもともと北朝鮮側にいたが、南側に家族と逃れてきて、そこで家族をすべて失ってしまったという過去を持つ。そして、北朝鮮軍側で従軍していたいとことの再会という、皮肉な運命も描かれる。一方、もう一人の重要人物は、大家族に生まれたことで愛されずに育ったという孤独な少年。彼らが対立しながらも、少しずつ心を通わせていく姿が物語の芯となっていきます。

 ただし、冒頭の戦闘シーンは確かに圧巻だったが、それだけで30分近くもあり、人物描写やキャラクターの背景があまり掘り下げられないままストーリーが進んでいく印象がありました。少年兵の中には女性が混じっているという設定もありましたが、それも軽く触れる程度で終わってしまい、もっと深く描いてほしかったです。ミーガン・フォックス演じる従軍記者も、完全にゲスト出演といった扱いで、物語にはあまり絡んでこなかったのが残念に感じました。

 また、少年兵や彼らを支える軍人たちが次々に倒れていくシーンも、テンプレートのように淡々と処理されてしまい、感情移入しづらかったです。韓国映画でよく見られる、泣き叫ぶ演出と感動的な音楽の組み合わせも、やややり過ぎに感じられて、少ししらけてしまう場面もあったり。

 それでも、仁川上陸作戦という有名な作戦の裏側で、名もなき少年兵たちがどのように戦っていたのかを知ることができたのは大きな収穫でした。戦争映画として、記録として、見る価値は十分にあった1本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2020/09/05 DVD

監督クァク・キョンテク 
キム・テフン 
脚本イ・マニ 
原案チョン・テウォン 
出演キム・ミョンミン 
チェ・ミンホ(SHINee)
キム・ソンチョル 
キム・イングォン 
ジョージ・イーズ 
ミーガン・フォックス 
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