映画【第九分局】感想(ネタバレ):90分で楽しめる幽霊と警官の物語、軽快なテンポで描かれる異色の娯楽映画

ユージェニー・リウ
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●こんなお話

 幽霊が見えて除霊専門の警官たちの話。

●感想

 主人公は交通課の警官で、ある日、怪しい人物に職務質問をしたところ、その人物が凶悪犯であることが判明し、同僚が射殺されてしまいます。自身も命を狙われそうになったそのとき、突然幽霊が現れ、主人公を助けます。主人公には幽霊を見ることができる特別な能力があり、その力が物語の大きな鍵となっています。そんな彼が新たにスカウトされて配属されたのは、幽霊が見える捜査官たちが所属する「第九分局」でした。

 この第九分局では、幽霊と交信するために使う道具が非常にユニークで、お線香やポケモンの傘など、思わず微笑んでしまうようなアイテムも登場します。幽霊の姿は青白くぼんやりと映されており、怖すぎず優しい描写となっているため、安心して楽しめる内容です。

 物語の中で興味深いのは、この部署が除霊専門であり、基本的には事件の捜査をしないというルールがあることです。しかし主人公はそのルールを破り、独自に事件の真相を追いかけていきます。やがて陰謀に巻き込まれながらも真実へと迫る様子が描かれています。

 また、幽霊それぞれに事情や背景があり、主人公も過去に母親の幽霊に対して辛い言葉を投げかけてしまい、後悔の念を抱えています。さらにバディとなる女性警官は幼少期に父親の暴力に悩んでいた過去があり、主人公が親しくなる記者が実は上司の娘であるというエピソードも織り込まれています。ただ、これらの描写がやや急ぎ足で展開されているため、もう少し丁寧に描かれていたら、より深みが増した印象を受けました。

 上映時間は90分ほどで、テンポ良く進む娯楽映画として観やすい作品です。ただ、軽やかすぎる印象もあり、幽霊と向き合うチームの物語や幽霊たちの背景をじっくり掘り下げる連続ドラマとして作られたら、より魅力的に感じられたかもしれません。

☆☆☆

鑑賞日:2021/05/27 NETFLIX

監督レオ・ワン
脚本モハメド・N
出演ロイ・チウ
ポン・チャチャ
ウェン・チェンリン
ユージェニー・リウ
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