映画【ターミネーター 新起動/ジェニシス】感想(ネタバレ):新旧ターミネーターが交錯する、時間を超えたドラマ

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●こんなお話

 機械との戦争が終わりそうだったけど、機械が過去にターミネーターを送って歴史を変えようとするから人間側も過去にタイムスリップするけど、微妙に歴史が変わっていて新しい敵と戦う話。

●感想

 未来の世界で機械との戦争が続くなか、幼い頃にターミネーターに襲撃された主人公が、人類の希望とされる指導者ジョン・コナーに救われるという強烈な経験を持ちながら物語はスタートします。機械軍を打ち破るために戦う人類。しかし、ジョンの母を過去で殺そうとする新たなターミネーターの存在が発覚し、それを阻止するために、主人公が自ら志願して過去へタイムスリップするという流れが描かれます。

 過去の世界に降り立った主人公が、任務の対象となる人物に接触しようとするも、想定していた人物像とは違う対応をされて困惑します。自分のことを知っているはずのない相手が、なぜかその名を呼ぶ不思議さや、聞いていた過去と現実のギャップが強調されて、最初はミステリー的な雰囲気も漂っていたと思います。

 そこへ現れるのが液体金属の新型ターミネーターで、これまでにないスピードとしなやかな動きによる追撃が始まり、スリリングな追いかけっこの中で巧みに仕掛けられた罠によって応戦していく主人公たち。序盤は『ターミネーター2』の記憶を刺激する展開が続いて、往年のファンとしても楽しめる部分が多かったです。

 さらに、指導者の母であるサラ・コナーが、実は過去に別のターミネーターによって命を救われており、そのターミネーターと行動を共にしていたという背景も明かされます。そして再び登場するタイムマシン。そのエネルギー源には、旧型ターミネーターのチップが用いられ、物語は未来の時代へと移行していきます。

 そこで主人公たちは到着早々に警察に拘束されるのですが、登場する未来のジョン・コナーとの再会で物語は大きく動きます。しかし突然、年老いたターミネーターによってジョンが撃たれるという展開が入り、一気に緊張感が高まります。衝撃の行動の理由は、ジョン自身がすでに機械に取り込まれ、ターミネーターとして変貌していたからという流れで、物語の軸も少しずつズレていく感覚がありました。

 おじさんターミネーターと再合流し、地下アジトで武器を調達するものの、そこにもジョン型ターミネーターが現れ、再び追跡劇がスタート。バスでの逃走や橋上での爆発といったアクションが連続していき、警察にまた捕まるというループのような展開も挟まれます。そこに過去で主人公たちに救われたことのある警官が現れ、味方として協力してくれる流れが挿入されます。

 物語終盤には、人工知能スカイネットのようなプログラムが起動しようとしているビルを爆破するために潜入し、ジョン型ターミネーターとの最後の戦いが描かれます。激しい肉弾戦の末、おじさんターミネーターがジョンを押さえ込んだままタイムマシンを起動。発生した爆発によってジョン型ターミネーターは溶解していきます。

 その後、おじさんターミネーターも消えたかと思われた矢先、実は密かに生き残っており、主人公の子ども時代に会いに行ってアドバイスを与えるという余韻ある結末で終わっていきます。

 物語序盤は、シリーズ過去作をセルフオマージュとして取り入れた構成がうまく機能していたように思います。特に第一幕は、過去の名シーンを再構築することで、シリーズファンなら思わずニヤリとするような遊び心が詰まっていました。液体金属型ターミネーターの再登場とそれに続く出会いのドラマは、前作とセットで観るとより楽しめる仕組みになっていたと思います。

 ただ、未来世界に飛んでからの展開では、アクションと設定説明が交互に挿入されてテンポが鈍くなりがちで、観ていて少し疲れてしまいました。タイムスリップを扱う映画の宿命とも言えるかもしれませんが、設定が複雑になることで話が分かりづらくなってしまうのは否めなかったです。

 アクションシーンもどこか既視感のある場面が多く、特にジョン型ターミネーターとの戦いには緊張感があまり感じられず、せっかくのCG演出も驚きにはつながらなかった印象です。シュワルツェネッガー演じるターミネーターが体を張って戦ってくれてはいるものの、その犠牲の重みや悲壮感が画面越しに伝わりにくかったのは少し残念でもありました。

☆☆

鑑賞日:2015/07/10 TOHOシネマズ川崎 2019/06/22 NETFLIX 2023/06/10 Amazonプライム・ビデオ

監督アラン・テイラー 
共同脚本パトリック・ルシエ 
レータ・カログリディス 
出演     アーノルド・シュワルツェネッガー 
エミリア・クラーク 
ジェイソン・クラーク 
ジェイ・コートニー 
イ・ビョンホン 
J・K・シモンズ 

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