映画【レッドクリフ Part I】感想(ネタバレ):圧巻の戦場描写と個性豊かな武将たちが織り成す大迫力の戦記映画

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●こんなお話

 赤壁の戦いまでの前哨戦の話。

●感想

 広大な戦場に広がる人や馬が画面いっぱいに映し出され、まるで戦争絵巻のような壮大なスペクタクルが繰り広げられる映画で、ただその迫力を目にするだけでも十分に満足感を味わえる作品でした。映像の一瞬一瞬が大迫力で、戦いの激しさや緊迫感が画面の隅々まで伝わってきて、まさに戦場の息遣いを感じさせてくれます。

 全体の上映時間は2時間30分とやや長めですが、冒頭の30分間は特に丁寧に描かれており、曹操軍の猛攻に対し、劉備軍が民衆を守りながら撤退する場面がじっくりと描写されています。そこでは劉備の配下たちが個性豊かに活躍し、それぞれの武将が持ち味を存分に発揮する様子が見事に映し出されていました。その後の展開では、曹操軍の動きが細かく描かれ、劉備と孫権の同盟に向けて、軍師の諸葛孔明と周瑜との腹の探り合いが興味深く進行していきます。

 水軍による曹操の侵攻が予想される中、敵軍が陸路から迫るという意外な展開もあり、それに備えて迎え撃つ様子が緊迫感をもって描かれました。クライマックスの八卦の陣を舞台にした戦闘シーンは特に長く、各武将に見せ場がしっかりと用意されており、豪華なアクションの連続に目が離せません。多彩な戦法や武将たちの個性が絡み合い、まさに戦の醍醐味を堪能できる時間となっておりました。

 ただ、作品を2部作に分けるほどの厚みがあるのかという点には少々疑問も感じました。たとえば、周瑜と諸葛孔明が理解し合うために琴を演奏するシーンがかなりの尺を割いて描かれていることや、孫権が曹操との戦いを決めるために虎狩りに出る場面も、やや長引いている印象がありました。こうした場面は緊張感を持たせる演出として捉えることもできますが、一方で物語のテンポをやや緩やかにしている面もありました。

 それでも、曹操が周瑜の妻を狙って大規模な戦いを仕掛けるという、なかなか個性的でユニークな動機が物語に色を添えており、その“変態っぷり”とも言える執念深さが作品の魅力のひとつとなっていました。歴史の重みと戦の華やかさが入り混じったこの映画は、戦記ものとしての見応えとともに、人物たちの人間味あふれるドラマも楽しめる一作です。

☆☆☆

鑑賞日: 2009/04/12 DVD  2019/12/31 DVD

監督ジョン・ウー 
脚本ジョン・ウー 
カン・チャン 
コー・ジェン 
シン・ハーユ 
出演トニー・レオン 
金城武 
チャン・フォンイー 
チャン・チェン 
ヴィッキー・チャオ 
フー・ジュン 
リン・チーリン 
ユウ・ヨン 
ホウ・ヨン 
バーサンジャップ 
ザン・ジンシェン 
チャン・サン 
中村獅童 
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