映画【魔界転生(1981)】感想(ネタバレ):魔界に堕ちた歴史の英雄たち!千葉真一の殺陣が炸裂

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●こんなお話

 島原の乱で殺された天草四郎が「エロイムエッサイム。古き骸を捨て」と怨念を唱えながら復活して日本を滅ぼしてやるということで現世で怨念を持ったメンバーを魔界衆を集めて柳生十兵衛と戦う話。

●感想

 江戸時代、島原の乱で神に祈っても救われなかった天草四郎が、絶望の末に魔界へ堕ちる。そこから彼の“魔界リクルート”が始まり、細川ガラシャを皮切りに、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、霧丸といった歴史的な人物たちを次々と魔界に引き込んでいく。

 一方、江戸城では将軍に魔物が憑いており、大奥に引きこもって政が停滞している異常事態が発生。事態を重く見た柳生但馬守宗矩は、将軍の側室を斬り、自らも切腹する覚悟を決める。そこに天草四郎が現れ、宗矩の息子を斬り捨てる。宗矩は宝蔵院胤舜を倒すものの、病に倒れ、息子・柳生十兵衛と戦いたいという執念から魔界へ転生してしまう。

 その頃、柳生十兵衛は宮本武蔵を訪ねるもすでに魔界の者に変わっており、霧丸もまた転生済み。父・宗矩までもが魔界に堕ちたことを知った十兵衛は、不穏な気配を察知し、刀匠・村正のもとを訪れ、魔を斬ることができる妖刀を作ってもらう。

 物語はここからクライマックス。柳生十兵衛が妖刀を手に宮本武蔵と激突し、江戸城では乱心した宗矩が暴れまわる。細川ガラシャは将軍とともに炎の中へと姿を消す。炎の中で展開される十兵衛と宗矩の激しい殺陣、そしてラストの天草四郎との戦いへ――。

 天草は「人間がいる限り、我はまた戻ってくる」と言い残し、消えていく。そして映画は余韻も残さず、エピローグすらないまま幕を閉じる。そんな潔さが凄かったです。

 千葉真一が演じる柳生十兵衛と、魔界衆との死闘が中心の本作。冒頭30分以上を使って魔界衆の召喚と結集が描かれたあと、ようやく主人公が動き出すという構成で、王道ながらも異色な展開が続いてました。

 妖刀を手にしてようやく対等に戦えるようになるという“パワーアップ演出”も熱く、千葉真一と緒形拳の激突、若山富三郎演じる宗矩の乱心と殺陣、そして炎の中で繰り広げられるアクションはどれも迫力満点。天草との最終決戦が意外なほどあっさりしているのも、振り切った演出として逆に印象深かったです。

 壮絶な殺陣と独自の魔界ビジュアルで魅せる、唯一無二の時代劇アクション。角川映画全盛期の勢いを体感できる作品でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/10/13 DVD 2023/11/14 Hulu

監督深作欣二 
脚本野上龍雄 
石川孝人 
深作欣二 
原作山田風太郎 
出演千葉真一 
沢田研二 
佳那晃子 
緒形拳 
室田日出男 
真田広之 
松橋登 
成田三樹夫 
角川春樹 
鈴木瑞穂 
丹波哲郎 
若山富三郎 
古川京子 
白石加代子 
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