●こんなお話
幽霊を捕まえることに成功した人たちがそれの原因とかを探っていく話。
●感想
カメラマンの日本人主人公が廃墟での撮影中に何者かに襲われて命を落とすところから物語は始まります。もう一人の主人公である台湾人は、特殊部隊の突入作戦の支援として爆弾犯の読唇術を担当している。その仕事の様子がリアルに描かれる一方で、彼の家庭では難病を患う母親が入院し、治療費の高さに苦慮している。彼には花屋で働く恋人もいるという繊細な人間模様が背景にあり。
その警官が日本人主人公の率いるチームの研究室を訪れ、子どもの幽霊が毎朝4時30分に外に出ようとするため、尾行してほしいと依頼する。最初は断る主人公だが、母親の入院問題をきっかけにこの依頼を引き受けることになる。だが、チームに元からいた助手は、急に入ってきた主人公に対して不満げで歓迎しない様子も描かれています。
やがて子どもの幽霊がバスで移動し学校で過ごす様子を観察するうちに、その幽霊の顔に腫瘍ができたり消えたりしていることに気づく。さらに彼が飛び降り自殺をしたことが明らかになり、恨みを抱えたまま死んだため幽霊として消えずに現世にとどまっているのではないかと推測する。幽霊が一般人を襲おうとするため、主人公は幽霊に効果のある弾丸で注意を引こうとするが、警官を撃ったり跳弾が当たり一般人に被害が及んだため逮捕される。しかし、主人公チームの力で無事釈放される。
学校の先生から自殺した子どもの話を聞く中で、その少年は養護学校で腫瘍が顔に出ていじめを受け、自殺未遂を経験したことが判明。母親に連れて行かれたことも明かされる。チームは少年が埋められている場所を探し当て、巨大な電磁波を発生させる施設の近くでその遺体を発見。少年の母親が息子を思うあまりに殺害した回想シーンも挿入される。
幽霊から伸びる糸を辿って主人公が母親のいる病院に向かうと、母親は意識不明の状態で亡くなっていた。主人公の車に母親の幽霊が乗り込み暴走し、クラッシュ事故が起きる。主人公は地下鉄(MRT)へ逃げるが、幽霊は追いかけてきて拳銃を発砲するも効果がなく、恋人に母親のことを託し、幽霊に心臓を掴まれて絶命する。しかし子どもの幽霊に心臓マッサージされて蘇生するという展開となっていきます。
日本人主人公は自身も幽霊になりたいという思いを抱きつつ、上司への恨みを募らせて刺殺するという複雑な事情がある。自殺し幽霊として蘇ろうとするも、その恨みの感情が邪魔をして成就しない。やがて親子の愛情が真実だと判明し、物語はおしまい。
江口洋介、チャン・チェン、チェン・ボーリンといった豪華キャストが顔を揃えている点も楽しめるポイントです。幽霊を科学的に解明しようとする設定は興味深いが、重要な設定である「メンジャースポンジ」に関する説明が映像や台詞でなされるものの、理解しづらい部分もありました。
台湾人主人公の恋人や母親との関係、日本人主人公の天才科学者としての謎めいた心情が徐々に明らかになるが、結局のところ何が伝えたいのか掴み切れない印象が残ります。チームの他のメンバーが幽霊に襲われる理由もはっきりしないままでした。
幽霊が現れるシーンでは、日本のホラー映画を思わせる長い髪の不気味な姿が様々な場所から突然現れる演出があり、そこは見どころで楽しく感じました。
総じてホラー映画としては過度な恐怖はなく、サスペンスや親子愛の感動作としてもそれぞれがやや中途半端に感じられた作品だと思います。ただ、独特な世界観とキャストの演技には一定の魅力がありました。
☆☆☆
鑑賞日:2022/10/16 DVD
監督 | スー・チャオピン |
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脚本 | スー・チャオピン |
美術 | 種田陽平 |
出演 | チャン・チェン |
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江口洋介 | |
カリーナ・ラム | |
バービィー・スー | |
チェン・ボーリン | |
チャン・チュンニン | |
津嘉山正種 |