映画【RRR】感想(ネタバレ):歴史と友情が交錯するインド発アクション大作

rrr
スポンサーリンク

●こんなお話

 イギリス植民地時代のインドでイギリス打倒に立ち上がる英雄たちの話。

●感想

 1920年代、英国統治下のインド。とある村で英国総督の妻が少女に化粧をさせ、その礼としてお金を渡すのかと思えば、そのまま少女を連れ去ってしまう。止めに入った母親は無慈悲に殴打されて命を落とす。理不尽な力に対して何もできないまま、村は喪失感に包まれる。

 一方でデリーでは、英国警察のインド人警官が群衆の中から反抗者を1人で確保し、圧倒的な腕前を見せる。だが、いかに功績を挙げても、それが植民地の者によるものである限り、上層部からは軽んじられる。そんな中で警官は、さらわれた少女の村から“伝説の闘士”がデリーへ向かってくるという情報を受け取り、その捜査を志願する。

 村からやってきた闘士は、名前を偽り英国総督に接近する機会を探りながら、彼女を救出するための策を練る。その闘士の行方を追って、警官も反体制運動の中に潜入する。やがて2人は、列車の事故に巻き込まれた少年を協力して救出したことで、まるで長年の同志のような信頼関係を築いていく。

 やがて村から来た闘士は、英国総督の姪に一目惚れし、警官が後押しして距離を縮めていく。パーティーに招待された際には、インド人であるがゆえの差別を受けつつも、ダンスで周囲を圧倒し、彼女から総督邸に招かれるという流れになる。そこでついに、連れ去られた少女と再会し、救出の決意を新たにする。

 その一方で警官は、闘士の仲間を拷問によって突き止めようとするが、毒蛇に噛まれて瀕死に。その場に現れた闘士に助けられ、一命をとりとめることとなる。

 いよいよ少女の奪還作戦が決行され、村の闘士が猛獣を放って総督邸に乗り込むが、そこに立ちはだかるのは警官。激突の末、闘士は捕らえられ、監禁と拷問を受ける。ここで警官の過去も明かされ、幼少期に父親から射撃を習ったことや、家族を英国兵に殺された記憶が回想として描かれる。

 昇進して軍備に関わる立場になった警官は、処刑場を移しながら闘士の命を守る算段を立てていく。だがその過程で正体が露見し、今度は警官が捕らえられる。救出に動いたのは婚約者で、彼の真意や信念を理解したうえで、共に闘士と少女の救出に乗り出す。

 脱獄後は武器庫を制圧し、牢獄を破り、森の中で女神像に導かれるように2人の主人公は再び団結する。神話的な演出とともに強大な力を得た彼らは、英国軍を蹴散らし、総督を討ち果たし、武器を民衆に解放して物語は締めくくられる。

 アクションはどこまでもスケールが大きく、1つ1つの動きが誇張されて描かれる演出には圧倒されました。特にスローモーションを多用する演出は、感情や関係性を丁寧に見せたい意図が伝わってきましたが、それが逆にテンポを鈍く感じる時間でもあったと思います。

 それに登場人物たちが極端に神格化される終盤の流れや、インド文化に馴染みがないと突然の展開についていけなくなるような箇所も多く、置いていかれる感覚があるのも事実です。英国人たちの演技がいかにも悪役的でわかりやすい構図になっている分、善悪の対比が明確で、物語としてのシンプルさはありました。

 イギリス人女性の気を引くために車のタイヤをパンクさせる場面など、やや過剰に感じるコメディ演出もありましたが、それも含めて全体が濃厚なエンタメ作品として成立していたように感じます。3時間という長さに加えて、一つ一つのシーンが誇張されているので体感としてはさらに長く感じられましたが、熱量に満ちた作品だったと思います。

☆☆

鑑賞日:2023/01/22 キネカ大森

監督S.S.ラージャマウリ 
脚本S.S.ラージャマウリ 
原案V・ビジャエーンドラ・プラサード 
出演N・T・ラーマ・ラオ・Jr 
ラーム・チャラン 
アジャイ・デーヴガン 
アーリヤー・バット 
オリビア・モリス 
シュリヤー・サラン 
タイトルとURLをコピーしました