●こんなお話
宿敵アポロからまた対戦要求されて、もうボクシングやめようと決めていたロッキーだけどやっぱり対戦する話。
●感想
前作の激闘を終えたロッキーとアポロの試合直後から物語は始まる。試合後、ふたりは同じ病院に入院し、ボロボロの体を抱えながらも互いに言葉を交わす。やがてロッキーはエイドリアンにプロポーズをし、彼女の返事もあって結婚。その後すぐに彼女は妊娠する。家庭を持ったロッキーはボクサーとしての道に一区切りをつけ、引退を表明する。
一方、アポロは前回の試合について世間から非難の声を受けるようになり、再戦を望むようになる。ロッキーは試合を引退したものの、芸能の世界に飛び込んでみたりするが、CM撮影ではうまくセリフも言えず、仕事も長続きしない。現実の厳しさに直面するロッキーは、ポーリーの紹介で精肉工場で働き始めるが、そこも人員整理で職を失ってしまう。
仕事もない、家族を養わなければならない、そんな状況の中で、ロッキーは再びリングに戻る決意を固める。だが、エイドリアンは妊娠中であり、彼の再起に反対する。それでもロッキーはボクシングしかないという想いから、ジムに戻ってトレーニングを始めるものの、気持ちが入らず集中できないまま日々が過ぎていく。
そんな中、エイドリアンが倒れて病院に運ばれたという知らせが入る。ロッキーはすぐさま駆けつけ、彼女のそばを離れず看病を続ける。やがて意識を取り戻したエイドリアンが、彼の耳元で「勝って」と小さく告げる。この一言がロッキーを奮い立たせ、ここから本格的なトレーニングが始まっていく。
ロッキーのテーマが鳴り響き、トレーニングのモンタージュが映し出される。名物とも言えるニワトリを追いかけるトレーニングも健在で、本当に効果があるのかと思いながらも、どこか可笑しみのある映像になっている。そしてロッキーが街を走る後ろには、どこからともなく集まった子どもたちが100人以上ついてきて、大変なことになっていく。
いよいよアポロとの再戦。リング上では両者一歩も引かぬ熱い攻防が繰り広げられ、激しい打ち合いの末、ロッキーが勝利を収める。そして、テレビの前で試合を見守っていたエイドリアンに向かってロッキーがメッセージを送る。
今回は、前作とは少し異なる感情の動線が感じられました。前作では、名もなき挑戦者としてチャンピオンに食らいついていくロッキーの姿が描かれていましたが、今作では観客の視線や社会の反応など、周囲の立場が変化する中での物語となっていました。特にアポロが観衆から非難され、ロッキーは応援されるという構図になっているため、むしろアポロ側の苦しみにも感情が寄っていくような作劇だったと思います。
エイドリアンの存在がロッキーの心の軸として描かれているのも印象的でした。あの「勝って」の一言が、あれほどまでにロッキーの心を突き動かすとは思いませんでしたし、そのあとの展開にはやはり胸が熱くなりました。特にトレーニングシーンから試合への流れはやはり王道で、映像と音楽の力でグッと引き込まれます。
名勝負の余韻と、ロッキーとエイドリアンの絆の深まり。前作からの延長でありながら、新たな試練と成長の物語として、きちんと見応えのある作品になっていたと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2008/07/12 DVD 2016/10/21 Hulu 2024/07/24 Amazonプライム・ビデオ
監督 | シルベスター・スタローン |
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脚本 | シルベスター・スタローン |
出演 | シルベスター・スタローン |
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タリア・シャイア | |
バート・ヤング | |
カール・ウィザース |
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