映画【遺体 ~明日への十日間~】感想

☆☆☆☆

●こんなお話

 東日本大震災で遺体安置所の体育館の様子を描いた話。

●感想

 映画は震災が始まる十分前ほどから始まります。民生委員、医師、歯科医師と助手、市職員たちの日常が簡単に紹介されます。

 そして、黒味にテロップで震災が遭ったことが描かれ。次のシーンでは、西田敏行さん演じる民生委員がさっきまでピンポンをしていた場所がめちゃくちゃになっている。そこへ帰ったはずのお年寄りたちが海側の街が津波にやられたと帰ってくる。市職員や医師たちも遺体安置所へとやってくる。
 ここまでが15分ほどで、後はひたすら遺体安置所での話になります。

 泥だらけで無数に運び込まれる遺体の数々、ブルーシートにくるまれた遺体が並んでいるという映像だけで、あの圧倒的現実を浴びてしまって見るのが辛く苦しいものでした。

 そのおびただしい数の死、というものに対して、ただ目の前の仕事をするしかないのだと。医師たちは検死や歯の確認をして、職員たち最初はただ立ち尽くすだけでしたが少しずつ動き始める。

 やっぱり悲しくて辛くて涙しても被災者の方々には何の関係もないことかもしれないですが、この映画見て気持ちを新たにしました。
 延々と辛い映像でしたが、もっとも気持ちが高ぶったのが國村準さん演じるお坊さんがお経をあげるところで胸が詰まってしまうシーンでした。涙が出てくるけど、自分が泣くわけにはいかない。そのお芝居が本当に素晴らしかったです。

 ただ作劇として納得できないところもあって、西田さん演じる主人公は1つ1つの遺体に話しかけ寄り添うようにしていますが。もちろんそれは素晴らしいことだと思いますが、何千という遺体全てそれをやるのはものすごい精神力の持ち主でないと務まらないし。それを浴びてしまっては、それこそ心が壊れてしまうのではないかと思ったのと。志田未来さん演じる職員が、幼児の遺体が運ばれてくるのを見て「どうしてあの子が亡くなって、私だけが生き残ったの」と号泣しますが。その気持ちは、今でも世界のどこかで自爆テロで亡くなる子どももいれば交通事故や悲惨な死に方をしている人がいるわけで。その人たちの事は思っていないのかな? と思ってしまいました。だったら、目の前で子どもさんが流された母親が出てきますが、その方の台詞として出すべきだったのではと思いました。確かに、残された人たちが「何故、自分が助かった」と思うのは当然のことだと思いますが。話の配置として納得できない部分でもありました。

 天災だから仕方ないとか地震だから仕方ないという気持ちもありましたが、やはり天災だからと言ってあまりに理不尽な現実を憎みたくなる映画でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/02/26 イオンシネマ新百合ヶ丘

監督君塚良一 
脚本君塚良一 
原作石井光太
出演西田敏行 
緒形直人 
勝地涼 
國村隼 
酒井若菜 
佐藤浩市 
佐野史郎 
沢村一樹 
志田未来 
筒井道隆 
柳葉敏郎 
0
タイトルとURLをコピーしました