●こんなお話
兄が殺された街で独自に真相に迫る主人公の話。
●感想
逃げる男が銃撃される場面から物語が始まる。どこか物々しい雰囲気が立ち込める中、主人公がその街に足を踏み入れた瞬間、いきなり逮捕される展開となる。しかし、その後すぐにアリバイが確認されて釈放される。ところが、射殺された男が主人公の兄だったことが判明し、主人公は自らの手で真相を探る決意を固めていく。
物語は、地元の女性保安官と、ボストンから赴任してきた警官の協力を得ながら、町に渦巻く腐敗を少しずつあぶり出していく過程が描かれていく。単なる殺人事件の捜査という枠を越えて、権力者の影、警察の内腐敗、そして町を牛耳る政治的思惑が複雑に絡み合う構造が浮き彫りになっていく。
会計士が行方不明になったという知らせが届く。その捜索を軸に、町の権力者一族や警察署長の動きが怪しくなっていき、やがて次々に命を落とす人物が現れる。署長の死後、町長がその役職を兼任し、捜査に当たる主人公たちをあからさまに妨害するようになる。調査を進めるにつれ、町の中枢で何が起きているのかが少しずつ浮かび上がってくる。
毎話のように主要キャラクターが殺されていき、敵と味方の関係も流動的に変わっていくので、登場人物の名前や関係性を把握するのがやや大変でした。しかも、各エピソードは前回の続きから唐突に始まり、ほとんど説明が入らないため、間を空けて視聴すると展開についていくのが難しく感じられました。本格サスペンスとしての構成がしっかりしている反面、登場人物の多さや展開の速さに圧倒される印象です。
特に印象に残ったのは、主人公が警官でも捜査官でもない立場でありながら、次々と敵と対峙して時には命を奪うような場面もあり、それが特に問題とされることなく物語が進行する点でした。現実的な観点からするとやや疑問を感じる部分もありますが、フィクションとしての面白さはありました。物語が次へと転がるきっかけが唐突なこともあり、理解を深めるために何度か巻き戻して確認することも多く、鑑賞には集中力を要しました。
クライマックスでは、事件の真相が明らかになると同時に、誰が本当の敵だったのかが判明していきますが、そこに至るまでの伏線や驚きの展開はやや抑えめで、どちらかというと登場人物たちの感情や関係性の変化に重点が置かれていた印象を受けました。終盤のアクションシーンは勢いがあり、ドラマとアクションのバランスを取ろうとする演出には熱量を感じました。シリーズとしては、静と動を織り交ぜながら一つの街の闇に迫っていく内容で、物語全体のテンションを保ちながら進んでいく力強さを感じさせてくれたと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2025/07/21 Amazonプライム・ビデオ
監督 | リン・オーディング |
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製作総指揮 | ニック・サントーラ |
リー・チャイルド | |
原作 | リー・チャイルド |
出演 | アラン・リッチソン |
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マルコム・グッドウィン | |
ウィラ・フィッツジェラルド | |
クリスティン・クルック | |
ブルース・マッギル | |
クリス・ウェブスター | |
マックスウェル・ジェンキンス |