映画【羅生門】感想(ネタバレ)

rashomon
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●こんなお話

 平安時代の殺人事件で真相は藪の中な話。

●感想

 豪雨の朽ちた羅生門で、ある事件を目撃した杣売りと旅坊主が「わからねえ、さっぱりわからねえ」とじっと考え込んでいる。そこへやってくる下人。何があったんだいと事情を聞き、杣売りが斬られた男を目撃したところから回想が始まる。

 侍とその妻、そして盗賊の多襄丸。この3人に遭った殺人事件。一体何があったのかと検非違使で取り調べられる。1人、1人、そして殺された侍の霊まで呼び出して証言させます。この映画の特徴である、それぞれの回想でバラバラのことが起きて、一体何が真相なのか? 人間の嘘や虚栄、見栄や意地。

 シークエンス自体は少なく起こる展開もないですが、時代の問題のあるかもですが。歩いたり走ったり殺陣であったりが長くてちょっと退屈を感じてしまいました。
 けれど、3人の証言とは別の事件を目撃していたという男の最後の回想。そこで起こる殺陣では、今まで勇ましくしていた侍と多襄丸でしたが、真相では物凄いグズグズの殺陣になって人間の情けなさが見れます。

 人間の汚さを見ていた杣売りは、赤ん坊の身ぐるみを奪う下人を罵りますが。下人に「小刀はどうした? なくなったわけではにないだろう。お前が盗まねえで誰が盗む」と。杣売りもそういう人間だったということか。

 果たして人間の本性は何なんのか? 旅坊主は一瞬、杣売りまで赤ん坊を奪ってしまうのかと疑うが。「今日という今日は人を疑わずにはいられねえ。俺には俺の心がわからねえ」と赤ん坊を持って羅生門を立ち去る杣売り。

 人間を信じること。疑うこと。誰を信じていいのかわからなくなる映画でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2013/04/10 Hulu

監督黒澤明 
脚本黒澤明 
橋本忍 
原作芥川龍之介 
出演三船敏郎 
森雅之 
京マチ子 
志村喬 
千秋実 
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