映画【日本の悲劇】感想

☆☆☆

●こんなお話

 日本の家族崩壊の話。

●感想

 シネマスコープ、モノクロの映像の中、出てくる場所は台所と父親の部屋と廊下という限られた空間。

 余命いくばくもない父親が退院してくるところから始まります。冒頭15分ほどだったと思いますが、ノーカットで主人公の仲代達矢さんは顔見えないという後ろ姿だけ。
 そして翌日から父親は自分の部屋にこもる。「オレはミイラになる」と宣言して、一体どうしてこのような行動をとるのか回想していきます。

 そこで描かれるのは、息子のリストラ、うつ病、自殺未遂、それに耐えられなくなったお嫁さんとの離婚、そしてやっと復活したかと思いきや母親が倒れてその介護で4年。母が死んだと思ったら震災。そして父親の病気。
 とこれでもかと不幸が襲ってきます。そして、自分の年金だけで生きている息子。彼を思って自死を選び年金を不正受給させても息させようとする父の子どもに対する気持ち。

 そして最後にパートカラーとして描かれる幸せだったころの家族の風景。それはまるでアルバムのような記憶。カラフルで幸せだった日々からしだいに色が失われ、薄暗くなっていく映像。
 カメラもフィックスで役者さんが画面から消えてもそのまま。音が印象的に使われていて背後にまわったりしているのを想像しながら見る映画。

 けどこのような家族は一部なのだろうか? と。これから高齢化社会を迎え、結婚しない人間が増えていき認知症の数も増えていく。自殺者も3万人を超えている。
 日本の悲劇は始まっているのか、それともこんなバカげた話の映画があったと思う未来がくるのか考えてしまう映画でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2013/09/02 ユーロスペース

監督小林政広 
脚本小林政広 
出演仲代達矢 
北村一輝 
大森暁美 
寺島しのぶ 
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