●こんなお話
お嬢様だけど刑事とその執事のコンビが豪華客船で起こる殺人事件と宝物を盗まれるうんぬんの2つの事件を解決していく話。
●感想
テンポよく場面が切り替わり、エネルギッシュなキャラクターたちの会話劇がスクリーンを賑わせていく。序盤から絶え間なく続くドタバタ劇とハイテンションなやりとりで、観る側もその勢いに巻き込まれていくような作品でした。ストーリーは、ある殺人事件を巡って豪華な屋敷の中で進行し、様々な登場人物が怪しげに動く中、物語は終盤に向けて意外な方向へと転がっていく。
最初から最後までスピード感が途切れることなく、役者陣のテンションも高く、場面展開も小気味よく進んでいたので、観ていて飽きることはありませんでした。特に椎名桔平さんや竹中直人さんの存在感ある演技は画面にリズムを与えていたと思いますし、北川景子さんの美しいドレス姿も目を引き、華やかさを加えていたと思います。
ただ、個人的にはテンションの高さが序盤からずっと続いていたこともあって、途中から少し疲れてしまったのも事実です。そして、後半に入ってから執事が急に名推理を発揮して事件解決へと向かう展開になるのですが、その過程があまり描かれず、いつの間にか真相に辿り着いているように感じられたのは少し物足りなさが残りました。
また、ミステリー作品でよく見かける「事件の再現」「犯人の過去の回想」「被害者の酷さの強調」といった構成も丁寧に挟まれていて、それによって感情的な訴求が意図されていたのかもしれませんが、やや定番すぎて新鮮味は薄かったです。観客の想像を超える推理で驚かせるというよりは、役者の魅力と演出の勢いで見せていくスタイルの映画だったと思います。
その意味では、本作の中心となる面白さはストーリー展開そのものというより、キャラクターの演技や衣装、セリフ回しの妙といったところにあるのかなと感じました。物語そのものをじっくり味わいたい方よりも、役者の芝居を楽しみたいという方には向いている作品かもしれません。
クライマックスの名推理も、これまでの積み重ねが少なかったぶん、観ているこちらとしても驚きより「えっ、いつの間に?」という感想のほうが強く、もう少し推理の工程を丁寧に見せていただけたらと思うところもありました。
とはいえ、全体を通して出演者たちが楽しそうに演じていたのが伝わってきて、その雰囲気も込みで最後まで鑑賞できたのは良かったです。
☆☆
鑑賞日: 2013/07/29 試写会
監督 | 土方政人 |
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脚本 | 黒岩勉 |
原作 | 東川篤哉 |
出演 | 櫻井翔 |
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北川景子 | |
椎名桔平 | |
中村雅俊 | |
桜庭ななみ | |
要潤 | |
黒谷友香 | |
甲本雅裕 | |
大倉孝二 | |
生瀬勝久 | |
竹中直人 | |
鹿賀丈史 | |
宮沢りえ |