●こんなお話
リンゴ農家の跡を継ぐかお笑いの道へ進むか悩む若者の話。
●感想
吃音をもっていて普段のおしゃべりには苦戦するけれど、ネタのときの舞台ではすらすらと喋れるようになる主人公。お母さんは小さいときに亡くなっていてリンゴ農家を営んでいる父親と2人で生活していて、父親はリンゴ農家をやってもらいたい。けれど主人公は東京でお笑いの道へ行きたい。どっちを選ぶのかという悩みと長野県のPRムービーであり王道の地域映画のような作りに芸能事務所のタイタン所属の芸人さんがたくさん出ていて、そういった事情が楽しく暖かい気持ちになれる映画でした。主人公を演じる芸人さんも本当にいい役者さんで好青年というキャラクターが染み付いていると思いました。
ただ父親との対立や和解、主人公がどういう道を進むのかという点では納得ができない展開が多かったです。主人公は大事な神事である奉納祭をドタキャンして準備をしていた何十人という人たちの時間を奪っておいて、父親が土下座をして何とかまた集まってもらって奉納祭を行うけれど。そこで起こるクライマックスの出来事は超絶突飛な展開で何が起こっているのか理解できないクライマックスで、しかも映画的には感動的な演出にされているため、終始戸惑う盛り上がり部分でした。神事の最中に何をやっているんだという気持ちで、みんな笑っているけれど、よく怒りだす人いないなという群衆でした。「神様も笑ってるで」的なセリフもあったりして、どういう映画内リアリティなのかとボケっと見つめる時間のクライマックスでした。
主人公だけお笑いの道が少し軌道に乗ったと思ったら、相方が嫉妬してひたすら攻撃してくるキャラクターで、主人公と相方がトンネルで言い争うシーンは2人の関係性がこじれる熱演が素晴らしかったです。そこから相方はひたすらひねくれたキャラクターになって、一緒に住んでる恋人にも悪態をつき最悪な人間となって主人公を苦しめますが、それが実は…というオチも納得できなくて。クライマックスの行動を考えていたとしても、介護してくれる恋人や心配してくる母親、治療してくれたお医者さんに対してのあの行動言動は何だったのだろう? という不快なキャラクターでした。
話の展開上、仕方ないですが。ひたすら主人公が落ち込んで悩む展開が多くて、その度に周囲のキャラクターがおせっかいなのか余計なお世話なのか主人公に優しくてというのが続くので、特に中盤の事故以降はその展開が多くなるので、だんだんと主人公が甘やかしてるだけと。しだいにどうでもよくなっていってしまう構成に感じました。
それに流行語のギャグをシリアスなシーンで本人に喋らせたりして、主人公が悩んでいるときになんでそんなギャグを入れるのか笑わせようとしているのか何なのか戸惑うところがあったりして乗り切れず、そして結局主人公が取る道がそれかいという、何のために悩んでいた90分だったのかという映画でした。
☆☆
鑑賞日:2020/10/13 TOHOシネマズ川崎
監督 | 八木順一朗 |
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脚本 | 八木順一朗 |
出演 | 竹内一希(まんじゅう大帝国) |
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田中要次 | |
田中永真(まんじゅう大帝国) | |
橋本小雪(日本エレキテル連合) | |
三浦貴大 | |
鉢嶺杏奈 | |
小野真弓 | |
島田秀平 | |
山本學 | |
太田光(爆笑問題) | |
田中裕二(爆笑問題) |