●こんなお話
有名な写真家が熊本県水俣市の公害問題を写真に残す話。
●感想
冒頭、お母さんが子守唄みたいなのを歌っているカットに始まり。主人公の写真家がニューヨークで荒れた生活をしていて、ライフの会議室へ乗り込んでいって編集長と揉める。というシーンからして映像がかっこよくて惹きこまれる映像美が凄かったです。日本の熊本に行ってからもすべてのカットが1枚の写真のような映像美が最高でした。
話自体は写真家がやってきて公害に苦しむ人たちを写真に収めて世界に訴えるというだけで地味ですが、真摯に丁寧に淡々と描いているのもよかったです。
日本が舞台のため、外国映画なのに日本語がほとんどというのもチャレンジングな作品なのも好みでした。クライマックスとかは株主総会というものでビジュアル的に動きはないですが、日本の役者さんたちの日本語で長く語るというのも惹きつけられて素晴らしかったです。教授の音楽も美しい旋律が印象に残るものでした。
主人公が写真を撮り、会社側に買収を持ちかけられたり実際に暴力を振るわれたりしたりやる気なくしたりするけれども…。けれども写真を撮るんだという主人公。ジョニー・デップさんの映画全部見ていないですが、ベストジョニー・デップなお芝居だと思いました。
いきなり活動家のリーダーの真田広之さんがいきなり通訳を始めたりするのに戸惑ったり、映画の中だとヒロインの美波さんがCM撮影のディレクターなのかな? と思ってみていたらいきなり水俣病の取材をお願いしてきたりして、どのポジションなんだろう? と考えてしまったりして、実際は通訳として知り合った後に水俣病の取材に行くことになる流れとは違うものなのとかストーリーに入り込めないところもありました。ヒロインとの恋愛も唐突でこの映画にキスシーンとか必要だったのだろうか? とかも考えてしまいました。それに主人公を妨害していた会社側の悪い実働部隊の人がいきなり最後で「母親に新設にしてくれた」と英語で語りかけて、重要な写真を渡してくれるのとかも急な印象でした。
とはいえ、水俣病患者さんたちとかはどうやって撮影しているのだろう? というリアリティさが伝わってきて。健康なのが1番ですが、事故や事件で障害などになったとしても人間として幸せに生きるということ。世界中の公害問題を少しでも考えるきっかけになれるのをエンタメ作品として触れることができる内容で素晴らしい映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2021/09/29 TOHOシネマズ川崎
監督 | アンドリュー・レヴィタス |
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脚本 | デヴィッド・ケスラー |
出演 | ジョニー・デップ |
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真田広之 | |
國村隼 | |
美波 | |
加瀬亮 | |
浅野忠信 | |
岩瀬晶子 | |
キャサリン・ジェンキンス | |
ビル・ナイ |