●こんなお話
火星人が襲来してくる話。
●感想
冒頭、農村地帯の静寂を破るように、炎に包まれた牛が農民の目の前を駆け抜けていくというところから始まって。やがて地球の上空に、火星から飛来した謎の宇宙船が接近していることが発覚し、アメリカ政府をはじめとする各国の首脳たちは大混乱。
アメリカ合衆国大統領は、軍部内のタカ派とハト派の意見の板挟みとなりますが、最終的にはハト派の「平和的対話」を重視する路線が採用されることとなり、地球側は火星人を「平和の使者」として丁重に迎え入れる準備を進めるのです。
物語はこの「政府の対応」と並行して、トレーラーハウスに住む庶民の家族や、ラスベガスのホテル経営者、カジノ関係者、マスコミの記者たちなど多くの登場人物の群像劇を描きながら、次第に「火星人襲来」が日常へと浸食していく様子をユーモラスに描写していきます。
いよいよ火星人とのファーストコンタクト。地球人が心を込めて歓迎のセレモニーを行った矢先、火星人たちは突然光線銃を乱射し、その場にいた人間たちを無差別に皆殺しにします。しかも、光線に当たった人間は即座に髑髏(しゃれこうべ)になるという。
それでもなお、科学者は「文化的な誤解による悲劇」だと主張し、政府は再び火星人との対話を試みますが、結果は再び惨劇。今度は議員団まで虐殺され、ついに全面戦争が勃発します。世界各地はパニックに包まれ、米軍が核ミサイルを発射するも火星人には通用せず、人類は圧倒されていきます。
その過程で、映画は登場人物たちを次々に退場させていきます。大統領までもが死の淵に追い詰められながら、「平和を信じる」と訴えますが、火星人にはまったく通じず無慈悲に殺されてしまいます。
一方、ラスベガスでは生き延びた人々が脱出を試みます。飛行機で逃げる者、火星人の注意を引くために元ボクシングチャンピオンが火星人と殴り合う。ドタバタとしながらも必死の抵抗が描かれます。
クライマックスでは、ある音楽が火星人に致命的な効果を与えることが判明。その音楽が流れることで火星人たちの頭が破裂し、地球は救われるということで物語はおしまい。
本作は、典型的なB級パニック映画を思わせる内容でありながら、火星人の造形、ブラックユーモア満載の演出、支配者層が馬鹿に描かれて次々に殺されていく痛快さ、さらには貧困層の活躍が世界を救うというメッセージ性も感じられる作品でした。
ただし、序盤の群像劇パートがやや長く、展開が遅く感じられる方もいるかもしれません。とはいえ、終始笑って楽しめました。そして何より、「トム・ジョーンズの歌があればすべてが解決する」という強烈なメッセージ性(?)を放っており、記憶に残るエンタメ作品であることは間違いありません。
☆☆☆
鑑賞日:2013/09/11 Hulu 2024/10/19 DVD
監督 | ティム・バートン |
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脚本 | ジョナサン・ジェムズ |
原案 | ジョナサン・ジェムズ |
出演 | ジャック・ニコルソン |
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グレン・クロース | |
アネット・ベニング | |
ピアース・ブロスナン | |
ダニー・デヴィート | |
マーティン・ショート | |
サラ・ジェシカ・パーカー | |
マイケル・J・フォックス | |
ロッド・スタイガー | |
トム・ジョーンズ | |
ルーカス・ハース | |
ナタリー・ポートマン | |
ジム・ブラウン | |
パム・グリアー |