映画【マッキー】感想(ネタバレ):ハエに転生した愛と復讐

Makkhi
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●こんなお話

 主人公とヒロインがいい感じになったところを邪魔しようとして主人公を殺したらハエとして復活してリベンジする話。

●感想

 子どもに物語を語るように始まる導入部から、射撃を楽しむ富豪の社長が登場し、彼の女好きな一面が紹介される。ヒロインは装飾品を作りながらNGO活動に取り組む女性で、主人公はそんな彼女に恋心を抱き、2年間も隣のビルの屋上から夜な夜な想いを伝え続けていた。ヒロインも主人公の気持ちを受け入れつつある雰囲気を漂わせていた。

 やがてヒロインはNGO活動の支援を得るために社長を訪ねるが、社長は彼女にひと目惚れし、必死に口説こうと動き出す。食事に誘うなど積極的に迫るものの、ヒロインの心が主人公にあると知り、嫉妬を募らせていく。そしてヒロインが主人公に想いを告げた瞬間、社長によって主人公は命を奪われる。

 物語はここから異色の展開を迎える。ハエの卵から生まれ変わった主人公は、小さな身体で人間世界を生き抜くことになる。踏まれそうになったり、他の生物に追われたりと、ハエの視点で描かれる世界はユーモラスでありながらサバイバル感にあふれている。主人公はヒロインのもとに現れ、社長にも付きまとい邪魔をする。悲しみに沈むヒロインに寄り添う社長の耳の中へ侵入するなど、奇抜な行動で復讐を開始する。

 空港に向かう社長を追い回し、交通事故を引き起こして重傷を負わせる場面は、コメディとホラーが交錯する奇妙な味わいがある。社長は周囲に「ハエに狙われている」と訴えるが、誰からも信じてもらえず孤立していく。ヒロインも一時は殺虫剤で主人公を追い詰めるが、ハエが自分が主人公であることをメッセージで伝えることで、彼女は真実を理解し協力者となる。

 ヒロインが作ったハエ用の小さなマスクや、主人公の鍛錬シーンなど、2人の連携は奇想天外だがどこか愛らしい。主人公は会議を妨害したり、金庫の札束を燃やしたりして社長を追い詰める。社長も魔術師を雇い鳥を操って主人公を狙うが、返り討ちに遭っていよいよ窮地へと追い込まれる。

 最終局面ではヒロインを人質に取り、主人公の羽を切り落としたり針で突き刺すなど執拗な攻撃を仕掛ける社長。しかし主人公は炎に身を包んで社長の銃に潜り込み、暴発させて大爆発を引き起こす。社長と共に部屋は吹き飛び、物語は決着を迎えるかに見えたが、ラストで「ヒズバック」と題された一幕があり、物語は不穏な余韻を残して終わる。

 感想としては、中盤からはハエとなった主人公と社長との対決がメインとなり、CGで描かれるハエの世界と、社長役の俳優が一人で暴れまわる芝居が強烈でした。主人公がサウナに閉じ込めたり、交通事故を仕組んだりと、人間の姿ではできない復讐を繰り広げる展開はコメディでありながらホラー的な味わいもあり、思わず笑ってしまうようなユニークさがありました。

 ぶっ飛んだ設定そのものが楽しい作品ですが、歌のシーンでは映像と歌詞がそのまま重なり、求愛の表現が少し単調に感じられる部分もありました。それでも奇抜なアイデアと役者の熱演が合わさり、ジャンルを超えた独特の娯楽映画となっていたと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2022/12/02 Amazonプライム・ビデオ

監督S・S・ラージャマウリ 
脚本S・S・ラージャマウリ 
出演スディープ 
サマンサ・プラブー 
ナニ 
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